五月場所、照ノ富士が関脇・大関で連続優勝
を達成したことで、七月場所は横綱昇進を
かけることになった。こうした例は大正15年
優勝制度が設けられてから双葉山しかいない。
双葉山は次の場所も優勝して横綱に昇進して
いる。69連勝の途上であった。にわかにクロ
ーズアップした横綱昇進問題。果たして照ノ
富士は横綱になれるのか。
横綱昇進基準は第1項品格力量抜群である。
横綱昇進基準はこれだけで十分である。とこ
ろが困ったことに第2項の連続優勝または
準ずる成績が一人歩きしている。この第2項
の問題点は年6場所制の現在、2場所だけを
切りとっている。優勝といってもピンキリが
ある。一時の勢いだけの危険性が潜んでいる。
横綱は万全かつ安定性、どこからいっても
大丈夫というほどの完成度が求められる。
NHKの解説者だった玉の海梅吉氏は5場所
を判断基準においてはと記していた。横綱
昇進直前5場所でみるとどうなるか。横綱
審議委員会が誕生した千代の山以降をみて
みる。千代の山から稀勢の里まで32人の横綱
が誕生した。まず、横綱昇進直前5場所で
60勝以上あげた力士をあげていこう。
鏡里 60勝15敗
輪島 63勝12敗 5場所前は関脇
北の湖 60勝15敗 4、5場所前は関脇
2若乃花 60勝15敗
千代の富士63勝12敗 4、5場所前は関脇
隆の里 60勝15敗
貴乃花 66勝9敗
朝青龍 61勝14敗 4、5場所前は関脇
日馬富士60勝15敗
稀勢の里61勝14敗
10人しかいない。このうち鏡里と稀勢の里は
初優勝だけで横綱になっている。貴乃花は
1場所平均13勝以上と驚異的である。なお、
横綱昇進直前の5場所の最低成績は琴櫻の
46勝17敗12休及び白鵬の46勝14敗15休である。
白鵬には若さと将来性があった。
照ノ富士はどうか。
13勝2敗 優勝同点
11勝4敗
12勝3敗 優勝
12勝3敗 優勝
48勝12敗で七月場所12勝をあげると60勝に
届くことになる。これだけでもりっぱである。
なおかつ照ノ富士に求めたいのは磐石さで
ある。五月場所はその傾向は見られたが、
最後失速した。未完成だった。
年齢的な心配がある。照ノ富士は現在29歳半
である。30歳以上で横綱に昇進したのは以下
である。
旭富士 30歳
稀勢の里30歳
隆の里 30歳
三重ノ海31歳
琴櫻 32歳
比較的短命の傾向がある。
若い横綱はいつ誰がなるのかまるで検討が
つかない状況である。まことに悩ましい。
それまで照ノ富士が綱をはっていくもよし。
照ノ富士は現在の幕内最強力士であることは
間違いないのだから。
北の富士さんがワクチンを接種しました。
興味深いテーマをこれからもお届けします。