作家尾崎士郎の相撲に関する言葉がある。
「栃錦の土俵ほど、実力と運命との調和を
示したものはあるまい。気迫と闘志は人間の
裏づけによって光彩を発揮する。これなき
ものは、第一流の力士たるべき資格に値せざ
るものである」このあともあるが、今回言い
たいことは気迫と闘志についてである。
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4日目、気迫と闘志あふれる相撲が二番見ら
れた。まず、照ノ富士である。対戦相手は
先場所14日目痛恨の1敗をきっした正代で
ある。その正代に果敢に突き放しで攻め込み、
右がはいり、どんどん前に出て押し出した。
この一番は技術的にどうこうより、照ノ富士
の気迫と闘志の相撲であった。
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照ノ富士は大関2番関脇2番で2勝2敗と
した。先人の幕尻優勝の翌場所、貴闘力が
2勝13敗、徳勝龍が4勝11敗だった。照ノ
富士は彼らと違う足跡を残せるか。
3連敗中の大関朝乃山。対戦相手は突き押し
のパワー相撲北勝富士である。立ち合い、
朝乃山踏み込んで右ざしにいくが、北勝富士
きらい、朝乃山突き放しにいく。追い込んで
右ざしで出る。北勝富士西土俵詰まるも、
朝乃山逆転を避けるため一歩踏みとどまって
寄り倒した。今日の朝乃山は気迫も闘志も
違った。やればできる。
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それにしても、現代大相撲は絶対的強者が
いない。結びの一番が横綱でないとどうも
しまらない。今場所の優勝は100メートル
競争でいえば10秒を切る争いにはなりそうも
ない。せめて気迫と闘志あふれる相撲だけは
引き続き見せていただきたい。
関取休場7人で取組数が減っています。
興味深いテーマをこれからもお届けします。