千秋楽全勝決戦3

柏戸は苦悩していた。大鵬と抱き合わせで
横綱になったものの、横綱昇進時は優勝が
なかった。それだけではない。横綱に昇進
しても優勝がなかった。それどころかケガで
休場を余儀なくされ、4場所連続休場となっ
て追い詰められていた。大鵬はすでに6連覇
を含む11回優勝を達成していた。柏戸は優勝
1回。この差はいかんともしがたかった。

柏戸
<柏戸>

昭和38年九月場所、4場所連続休場の柏戸は
再起をかけ土俵にあがった。柏戸は土俵を
離れていたから期待はできない。いや、案外
やって10勝はいけるのでは。という声をよそ
に初日潜航艇岩風、2日目出羽錦、3日目
小城ノ花と快調に白星を重ねていった。中盤
9日目北葉山、10日目栃ノ海を撃破。終盤
1敗の豊山、佐田の山、栃光と5大関に勝ち、
14勝と予想以上の成績で千秋楽を迎えた。

一方の大鵬は安定感と強さは誰もが認める
第一人者であった。全勝優勝の経験もあり、
5大関を寄せつけず、柏戸同様14連勝で横綱
決戦となった。

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大鵬
<大鵬>

立ち合い大鵬は両腕をクロスさせ、もろざし
狙い。柏戸は左前褌を取って相手の右を封じ
る。大鵬寄って出るも柏戸右おっつけで右
ざし、両まわしを引きつけ、一気に正面に
寄り切った。

柏戸涙の全勝優勝であった。16場所ぶり2回
目の優勝であった。これに感激するするメデ
ィアやファンがでたほど劇的な優勝であった。
ただ、この一番を作家の石原慎太郎氏が八百
長と書いたことで協会が告訴する騒ぎがあっ
た。石原氏が謝罪したことで協会は告訴を
取りさげた番外編があった。

大鵬
<大鵬>

柏鵬全勝決戦の第2ラウンドはその4場所後
昭和39年三月場所にやってきた。大鵬はその
前の一月場所全勝優勝し、十一月場所の千秋
楽から30連勝中であった。大鵬充実期のとき
であった。この場所は大鵬がすくい投げで
制して2場所連続全勝優勝した。全勝決戦を
2度実現したのは前にもあとにも柏鵬だけで
あった。

(この項目続く)

週末は猛暑から解放されそうです。
興味深いテーマをこれからもお届けします。

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この記事を書いた人

相撲専属フリーライター・写真家。ペンネーム電光力。日本経済新聞社の記者を15年務め、日経HRの編集者を経て独立。2014年から大相撲ブログ「土俵の目撃者」を運営し、毎場所ほぼ全ての本場所を取材、土俵際から自ら撮影。撮影したリングサイド写真は9万枚を超える。にほんブログ村「相撲・大相撲」カテゴリ ランキング1位。

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