小錦はなぜ横綱になれなかったか|横審委員の論文と、初の外国人横綱・曙への道

小錦は史上初の外国人大関となって横綱をうかがったが、13勝で優勝、12勝、13勝で優勝というチャンスを見送られ、横綱にはなれなかった。田口は、横綱審議委員会のメンバーが「外国人横綱はいらない」という論文を発表し、あたかも小錦を横綱にさせないような印象を与えたと書く。初の外国人横綱になったのは、大関から2場所連続優勝で文句なしに昇進したハワイ出身の曙である。

※相撲記者・田口 通廣が2017年10月に書いた横綱10大史の連載の第10回をもとに、代数・在位・優勝回数を日本相撲協会の歴代横綱・歴代大関の一覧(2026年9月27日確認)で補った。

目次

外国人関取のパイオニア|ハワイ出身の高見山

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外国人関取の事実上のパイオニアといえば、ハワイ出身の高見山である。外国人で唯一の幕内力士だった時代は97場所に及んだ。

愛嬌があり、強さともろさをあわせもって土俵をわかせた。優勝経験はあるが、最高位は関脇だった。

高見2
<高見山優勝の記事>

小錦はなぜ横綱になれなかったか|「外国人横綱はいらない」

高見山に続いたのが、同じハワイ出身の小錦である。高見山にスカウトされて高砂部屋に入門し、重量級のパワーで史上初の外国人大関となり、横綱をうかがう成績をあげていった。

だが、横綱審議委員会のメンバーが「外国人横綱はいらない」という論文を発表し、あたかも小錦を横綱にさせないような印象を与えた。同時に、人種差別ではないかという見方もされた。

小錦は13勝で優勝、12勝、13勝で優勝というチャンスを見送られていた。田口は、直前3場所で優勝がないまま横綱に昇進した力士や、小錦以下の成績で横綱に昇進した力士と比べると、万人を納得させるものではなかったと書く。

結局、小錦はこのチャンスを生かせず、横綱になることはなかった。日本相撲協会の歴代大関の一覧では、小錦の大関在位は昭和62年7月から平成5年11月まで、優勝は3回となっている。

小錦
<小錦>

史上初の外国人横綱・曙|2場所連続優勝で文句なしの昇進

高見山が興した東関部屋に入門してきたのが、ハワイ出身の曙である。長い腕から繰り出す突っ張りは威力抜群だった。

同期の貴乃花、若乃花との出世争いは興味津々で注目を集めた。十両昇進、入幕、初優勝は貴乃花に先んじられたが、大関昇進は曙が最初だった。

新大関の場所は全休、次の場所は9勝6敗だったが、そのあと2場所連続で優勝し、ここに史上初の外国人横綱が誕生した。文句なしの昇進で、このときにはもう外国人横綱うんぬんの議論は消えていた。

あけぼの
<外国人初の横綱になった曙>
項目曙
代数第64代
出身地米国ハワイ・オアフ島
横綱在位平成5年3月〜平成13年1月
横綱在位場所数48場所
横綱での成績432勝122敗166休
優勝横綱で8回(通算11回)
全休横綱で9回(通算10回)
曙の横綱成績(田口 通廣の集計と日本相撲協会の歴代横綱の一覧)

曙は横綱を48場所務め、優勝8回(通算11回)、432勝122敗166休、全休9回(通算10回)と、まずまずの実績を残した。

曙が開いた道|武蔵丸からモンゴル出身の横綱へ

田口は2017年の記事で、曙の横綱は、その後のハワイ出身の武蔵丸、モンゴル出身の朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜へと、外国人横綱への道筋をつけたと書いている。

日本相撲協会の歴代横綱の一覧では、武蔵丸は第67代で、出身地は曙と同じ米国ハワイ・オアフ島、横綱在位は平成11年7月から平成15年11月までとなっている。記事の後にも、モンゴル出身の第73代照ノ富士、第74代豊昇龍が横綱に昇進している(2026年9月27日確認)。

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力士出身位置づけ
高見山ハワイ外国人関取の事実上のパイオニア。最高位は関脇
小錦ハワイ史上初の外国人大関。横綱にはなれず
曙ハワイ史上初の外国人横綱(第64代)
武蔵丸ハワイ曙に続く横綱(第67代)
朝青龍・白鵬・日馬富士・鶴竜モンゴル曙が開いた道に続いた横綱(2017年の記事の時点)
照ノ富士・豊昇龍モンゴル記事の後に横綱に昇進(第73代・第74代)
外国出身の関取から横綱への流れ(田口 通廣の2017年の記事から。最後の行は日本相撲協会の歴代横綱の一覧、2026年9月27日確認)

よくある質問

Q. 小錦はなぜ横綱になれなかったのですか?
A. 13勝の優勝、12勝、13勝の優勝というチャンスを見送られ、それを生かせなかった。横綱審議委員会のメンバーが「外国人横綱はいらない」という論文を発表し、小錦を横綱にさせないような印象を与えたとも田口は書いている。

Q. 初の外国人横綱は誰ですか?
A. ハワイ出身の曙。日本相撲協会の歴代横綱の一覧では第64代で、大関から2場所連続優勝して昇進した。

Q. 外国人で初めて大関になったのは?
A. ハワイ出身の小錦。高見山にスカウトされて高砂部屋に入門し、史上初の外国人大関となった。

Q. 曙のあとに続いた外国出身の横綱は?
A. 2017年の記事の時点では、ハワイ出身の武蔵丸と、モンゴル出身の朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜。日本相撲協会の歴代横綱の一覧では、その後にモンゴル出身の照ノ富士(第73代)と豊昇龍(第74代)が続いている(2026年9月27日確認)。

関連記事:歴代横綱の体重ランキング/横綱優勝次点番付/モンゴル3横綱を比較/横綱審議委員会(横審)とは/外国出身力士主流の流れ

同じ話題の記事:曙とは(歴代横綱シリーズ・全場所の成績)/連載の前の回・双羽黒横綱途上で相撲界を去る/連載の1回目・横綱の起源

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この記事を書いた人

少年漫画雑誌、日経関連の編集者を経て独立。現在は大相撲を専門に取材するライター。ほぼ毎場所、自ら土俵際で撮影している。にほんブログ村 相撲・大相撲カテゴリでランキング1位。

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