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この10年の優勝物語4

表彰なき優勝。こんなさびしい、むなしい優勝があった
だろうか。本来優勝は栄光に彩られ、各表彰・賞金・商
品とともにその名を永遠に歴史に刻む栄誉に包まれる
ものであるはずだ。渡されたのは優勝旗のみである。
実は、白鵬は35回優勝のうち2回経験している。という
より白鵬しか経験していない。
白鵬1A
<旗手徳瀬川 優勝白鵬>
 
最初は野球賭博事件を受けての平成22年七月場所であ
る。野球賭博は、暴力団の資金源になっているという社会
的問題になった。幕内で解雇1、謹慎6人、十両で4人出す
という崩壊状態になった。親方の解雇もあった(2月にテレ
ビ朝日系のしくじり先生に登場したが)。さすがにNHKも
放送を自粛し、短縮版の放送のみであった。
白鵬2A
<白鵬初の優勝旗のみの表彰>
 
白鵬は優勝インタビューで「この国の横綱として、力士の
代表として、天皇賜杯はいただけたらなとつくづく思う」と
つらい心情を吐露している。史上初のやりがい、充実感、
達成感なき優勝になってしまった。
白鵬1B
<インタビューに答える白鵬>
 
2回目は翌年の平成23年5月の技量審査場所である。
一月場所後、八百長の証拠が初めて出てきた。野球
賭博の捜査で携帯電話の消去したメールを復活させた
ところ、浮上したのである。三月場所は中止、調査の結果、
処分力士が大量に発生した。八百長は大相撲の存続を
あやうくする大問題だった。しかし、調査は限界があり、
誰もが納得する解決は難しかった。
白鵬3B
<またも優勝旗のみの表彰>
 
五月場所は技量審査場所として、無料開催することに
なった。力士のぼりはなく、大地震の被災地復興ののぼり
が数本立てられていた。国技館サービス会社はシャッタ
ーがおり、焼き鳥もなく、食堂もやっていない。ないない
づくしの国技館である。いや、そんなものより、相撲ファン
にとっては場所のポスターやパンフレットがないのがさび
しい。ただ、記録は正式なものとして扱われることになっ
た。しかし、NHK放送は全面ストップとなった。
白鵬3A
<撮影用で優勝パレードなし 旗手魁聖 優勝白鵬>
 
千秋楽、優勝白鵬がベテランの大関魁皇になんともしま
らない負け方で、幕切れとなった。白鵬は13勝2敗で朝
青龍と並ぶ7連覇を達成したが、最近の優勝では珍しく
レベルダウンした優勝だった。負けたからいうのではなく、
なんか魂ここにあらずの負け方だった。やはり表彰がなく、
モチベーションがあがらなかったのだろうか。
白鵬は表彰なき優勝を2度経験した。このことを永遠に
忘れないとともに、知らない世代に伝えたい。

 2月も下旬になり、改めていいテーマを書いていきます。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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