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稀勢の里の使命

初代若乃花、北の富士、貴ノ花、稀勢の里には、ある共
通点がある。それは大関昇進直前の成績が、15日制で
10勝であることだ。厳密には初代若乃花は10勝4敗1分
だが、大関昇進に十分な成績とはいえなかった。後に横
綱になった北の富士は8勝-10勝-10勝と今なら問題に
もならない成績で大関に昇進している。

160109初日前日 038
<稀勢の里>

稀勢の里は10勝-12勝のあとの場所、10勝4敗で千秋楽
を迎えた。ところが、千秋楽の結果以前に大関昇進が、決
定してしまったのである。千秋楽は大関琴奨菊に敗れ、結
局10勝5敗に終わり、その成績で大関に昇進した。当時
甘い昇進といわれた。琴奨菊が11勝-10勝-11勝で大
関を見送られていたからだ。最も大関昇進は数字だけで
なく、相撲内容が問われるべきではあるが。
初代若乃花は不十分な成績で大関に昇進したのをよしと
しなかった。今まで以上の猛稽古で、大関にふさわしい
内容・成績をあげ、大関10場所で横綱に昇進した。

若
<初代若乃花のブロマイド>

北の富士の大関昇進はラッキーな側面がある。大関が豊
山1人で、下り坂であった。元千代の山の九重が、やむに
やまれず出羽海部屋から破門独立した。北の富士はそん
な過酷な運命でも、九重についていった。そしてその直後
の場所で、なんと初優勝してしまった。まさにこれ以上ない
劇的な優勝であった。

北
<北の富士>

圧倒的な人気の貴ノ花は、大関になって苦しんだ。1ケ
タ勝利が多く、優勝は遠かった。貴ノ花が優勝するとす
れば、全勝や14勝ではなく、13勝の争いのときだ、とい
う見方があった。そして大関15場所目、日本中が熱狂す
る中、優勝決定戦で横綱北の湖を寄り切り、初優勝を達
成した。

貴ノ花
<貴ノ花>

日本出身の日本人で優勝するとしたら、稀勢の里という
見方が有力だった。3度13勝をあげた実績がある。しか
し、現実は琴奨菊に先んじられた。朝青龍は、琴光喜が
初優勝するのを見て、自分もできると思ったという。稀勢
の里は、いつまでも堅くなる、期待できないという一面を
もち続けている場合ではない。猛稽古で余計なことを
考えず、先人にならい優勝することこそ使命である。

 2月も下旬になり、改めていいテーマを書いていきます。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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