日馬富士と鶴竜は、白鵬時代の陰に隠れた感がしなくも
ない。ともに共通点がある。最初の優勝のチャンスは関
脇時代で、優勝決定戦で白鵬に敗れていることである。
それから3場所後に日馬富士は初優勝し、鶴竜は13場所
後に初優勝した。現在日馬富士は7回、鶴竜は2回優勝
している。
日馬富士は大関に昇進しても、初優勝しても1ケタ勝利
か10勝がせいぜいだった。これは2度目の優勝も大差な
かった。つまり日馬富士は単発で優勝しても、持続性が
なかった。大関にありがちなパターンであった。日馬富士
はこれが限界かと思った。ところが3度目の優勝、4度目
の優勝は超人的な想像もできない優勝だった。
はこれが限界かと思った。ところが3度目の優勝、4度目
の優勝は超人的な想像もできない優勝だった。
大関21場所目の平成24年の七月場所、日馬富士は初日か
ら快調に走って14連勝。前場所8勝で終わっただけに予
想以上の快進撃である。しかし、日馬富士の前に巨大な
壁があった。ここまで22回の優勝を達成している横綱白
鵬である。こちらも初日から好調に14連勝と、これ以上
ない成績で千秋楽を迎えた。
日馬富士は本来なら4番目の大関で、千秋楽一人横綱の
白鵬と対戦する立場にはない。しかし、取組編成は優勝
を争う両力士をあえて千秋楽にぶつけた。その結果横綱
と大関による千秋楽の全勝同士の決戦という史上初の出
来事となった。
<平成24年の七月場所千秋楽 日馬富士が
白鵬を寄り切って全勝決戦を制す>
勝負は右四つ、日馬富士終始白鵬に上手を与えない絶好
の体勢をつくる。気をみて一気に寄り立て初の全勝優勝
を達成した。第一人者の白鵬さえ寄せ付けなかった日馬
富士の全勝は、まさに神がかり的だった。日馬富士は、
翌場所も全勝優勝し、貴乃花以来の2場所連続全勝優勝
で横綱を手中にした。
鶴竜も日馬富士同様、大関昇進後は1ケタ勝利が多かっ
た。大関昇進は10勝-9勝-10勝-10勝-13勝だから、
1度の13勝だけを生かして昇進した節がある。こうした
流れから優勝、まして横綱は想像しにくかった。元来、
鶴竜は闘志を全面的に出すタイプではない。鋭さ、圧倒
的という取り口でもない。そんな鶴竜にチャンスがめぐっ
てきた。
てきた。
平成26年の一月場所、初日隠岐の海に負けたあと、13連
勝したのである。このとき、横綱日馬富士は全休で、白鵬
が一人横綱の状態であった。鶴竜は2番目の大関で、本
来なら千秋楽は白鵬戦ではない。だが、優勝争いの観点
から白鵬対鶴竜戦は千秋楽に組まれた。本割で鶴竜は、
が一人横綱の状態であった。鶴竜は2番目の大関で、本
来なら千秋楽は白鵬戦ではない。だが、優勝争いの観点
から白鵬対鶴竜戦は千秋楽に組まれた。本割で鶴竜は、
もろ差しからの寄りで決定戦にもち込んだ。だが、それが
精一杯であった。
精一杯であった。
<平成26年三月場所12日目 鶴竜、日馬富士相手に
先手をとる>
チャンスは翌三月場所再びやってきた。鶴竜は序盤で先
場所同様隠岐の海に負けた。負けて覚える相撲かなとは
いかなかった。しかし、負けを最小限度にくい止めて、終
盤の横綱決戦を迎えた。12日目まず、全勝の日馬富士
盤の横綱決戦を迎えた。12日目まず、全勝の日馬富士
と対戦した。立ち合い、鶴竜は右から日馬富士を突き落
とすように体勢をくずすと、そのまま後ろから攻め立て、
日馬富士が向き直らんとしたが、すでに土俵際で、勝負
あった。日馬富士は鶴竜戦後連敗して、優勝争いから1
歩後退した。
そして14日目最大の山場、1敗同士で白鵬と激突した。
鶴竜突っ張って出る。白鵬四つにいく。組み手争いとな
り、鶴竜きらって突き立てる。右四つになるが、鶴竜くい
下がっていい体勢をつくる。鶴竜引き付けて寄る。寄り
立て大一番をものにした。鶴竜は初優勝で横綱に昇進
下がっていい体勢をつくる。鶴竜引き付けて寄る。寄り
立て大一番をものにした。鶴竜は初優勝で横綱に昇進
した。ワンチャンスを生かし、初優勝後に横綱に昇進す