九月場所遠藤は幕内上位に復帰し、横綱・大関戦第3
ラウンドをむかえる。九月場所で遠藤はどんな相撲を
とるか。学生出身の先輩豊山、輪島はどんな実績をあげて
きたかをまず見てみよう。
輪島 豊山 遠藤
横綱・大関戦1 6勝9敗 9勝6敗 6勝9敗
横綱・大関戦2 11勝4敗 7勝8敗 7勝8敗
横綱・大関戦3 10勝5敗 7勝8敗 ?
輪島の横綱・大関戦第1ラウンドは入幕4場所目(通算
10場所目)の1971(昭和46)年七月場所であった。横綱は
玉の海と北の富士である。大関は大麒麟、琴桜、清国、
前の山だが、大関陣がふがいなかった時期である。輪島は
横綱戦2敗、大関戦2勝2敗で、この場所は6勝9敗で
負け越した。
第2ラウンドは2場所後の十一月場所であった。この
ときは横綱玉の海が亡くなった直後の場所であった。
横綱戦1敗、大関戦3勝(不戦勝1)1敗で、この場所
11勝4敗で敢闘賞を受賞した。
第3ラウンドは第2ラウンドの翌場所の1972(昭和47)年
一月場所で輪島は小結に昇進した。この場所は大混乱で
横綱北の富士が大乱調。2大関が休場のなか、平幕栃東が
11勝4敗で1位になった。輪島は横綱戦1勝、大関戦
2勝1敗でこの場所10勝5敗の成績だった、
輪島は第3ラウンドを含め、三役を5場所務めて大関に
昇進した。
豊山の横綱・大関戦第1ラウンドは入幕2場所目(通算
7場所目)の1961(昭和35)年三月場所であった。横綱は
大鵬、柏戸、若乃花だが、若乃花はこの場所初日出場した
だけで休場。翌場所全休で引退したため対戦はない。大関
は琴ヶ浜と同部屋の北葉山がいた。豊山は横綱に1勝1敗、
大関に1敗でこの場所9勝6敗で勝ち越した。
第2ラウンドは翌場所の五月場所、小結に昇進したときで
あった。この場所佐田の山が大関に昇進した。横綱戦
2敗、大関戦1勝でこの場所7勝8敗で負け越した。
第3ラウンドは翌場所の七月場所で、小結から前頭筆頭に
下がった。栃ノ海、栃光が新たに大関に加わった。横綱
戦は1勝1敗。大鵬には1度も勝てない。大鵬からみれば
豊山の相撲はスキだらけと言われた。大関戦は1勝3敗で
この場所7勝8敗と負け越した。
豊山が大関に昇進したのは連続で負け越てから4場所後で
あった。
遠藤の横綱・大関第1ラウンドは入幕4場所(通算7
場所)の2014(平成26)年三月場所である。横綱は白鵬、
日馬富士、大関は鶴竜、稀勢の里、琴奨菊である。遠藤は
横綱戦2敗、大関戦1勝2敗でこの場所6勝9敗の成績で
あった。
翌五月場所場所、鶴竜が横綱に昇進した。遠藤はその
鶴竜から勝利したものの、横綱戦1勝2敗、大関戦2敗で
7勝8敗と負け越した。
遠藤が輪島、豊山に及ばないのはまだ、三役に昇進して
いない点。上位で勝ち越せない点である。この点を九月
場所は乗り越えなければならない。遠藤は勢いがなく
なった、いっぺんに出てくる相手を克服できていないと
いう声を耳にする。何より七月場所は幕内中位であった
にもかかわらず8勝7敗と物足りない成績に終わった。
がないなど評価は高くなかった。豊山のほうが期待が
はるかに大きかった。にもかかわらず、輪島は横綱になり、
歴代7位の優勝14回を達成した。輪島は小さい相撲のまま
で強くなった稀有な例である。
九月場所の遠藤は自分の得意な体勢、力を十分発揮できる
体勢をしつこくつくっていくことである。そこにこそ遠藤
の突破口がある。