五月場所、大の里の横綱昇進が話題になっている。なぜだろうか。
先場所優勝したからである。優勝といってもピンキリがあって12勝
のスキあり優勝だった。大の里は初優勝したときも12勝だった。そ
のとき師匠のニ所ノ関(元稀勢の里)は「12勝で優勝と思うな」と
発言している。

大の里の大関成績は9勝-10勝-12勝である。それでいて横綱挑戦
となる要因ははっきりしている。2場所連続優勝または準じる成績
は横綱昇進基準として一人歩きしているからだ。上記は第二項で、
その前の第一項に「品格力量抜群」がある。これを大多数の方が認
識していない。
本来横綱の昇進基準は第一項だけで十分である。短期間優勝にこだ
わる必要はない。14勝で優勝できないことだってある。そうかと思
えば12勝スキあり優勝だってある。連続優勝しても横綱短命に終わ
った例がある。また、横綱優勝ゼロあるいは1回の例だってある。
豊昇龍は9勝-8勝-13勝-12勝で横綱に昇進した。これははっき
りいって大関に昇進する成績である。だから豊昇龍の横綱の力量に
関しては懐疑的である。これを先例として大の里に適用することは
事実上の横綱格下げにつながる。

大の里はニ所一門の連合稽古を休んだ。勢いや調子のよさはあまり
伝わってこない。学生出身で唯一の横綱になった輪島のときとは異
なる。輪島の相撲は天才的で横綱は時間の問題だった。数々の出世
記録を更新してきた大の里だけに、横綱は文句なしの昇進を望まず
にはいられない。