今年の一月場所後、横綱豊昇龍が誕生した。さほど間をあけず、五
月場所後横綱大の里が決定した。番付の東西に横綱がそろったこと
で新しい時代が始まったように思える。しかし、冷静に考えるとこ
れは錯覚であることがわかる。
これまで大の里と豊昇龍が優勝を争ったことは1度もない。一番成
績が近かったのが今年(2025年)の五月場所である。大の里14勝、
豊昇龍11勝3敗で千秋楽結びの一番で対戦した。優勝はすでに大の
里のものであった。それでも豊昇龍は意地を見せ、大の里の全勝優
勝をはばんだ。

これまで期待もはいって様々な時代が叫ばれた。柏鵬時代、鵬豊時
代、鵬佐時代、貴受時代、魁貴輪時代などである。しかし、実質を
ともなわない時代は消えていった。これは現時点の大の里と豊昇龍
にもいえる。
豊昇龍は横綱3場所で途中休場が2場所である。横綱の力量がある
か疑問視されている。とにかくよく負ける。横綱昇進直前3場所が
33勝12敗だった。これはそもそも大関昇進の成績である。
大の里は新横綱の場所3連覇を逃した。それも自滅によってであっ
た。平幕に4敗はほめられない。琴勝峰戦は止め役であった。それ
がやすやすと負けた。

ただ、大の里の復調は期待できる。九月場所はぜひ強い大の里を見
せていただきたい。