5月2日、公開稽古総見が行われた。あいにく天候は雨になる予報
であった。ただ、8時入場予定まではもちそうであった。両国に着
いたのは6時50分くらいであった。相撲仲間のKM氏と南門で一緒
になった。列は南門を曲がって長蛇の列であった。天候が思わしく
なくても人の列は伸びる一方であった。いつになっても人が絶え間
なく並んでいった。相撲人気をうかがわせる。
入場は予定より早く始まった。段階的に人を入れていったようだ。
長蛇の列だったが、それでもマス席の一番後ろに席を余裕で獲得し
た。相撲仲間2人と同席した。すでに幕下の稽古は始まっていた。

稽古はやったから直後の場所に成果が出るものではない。稽古とい
うものは日々の鍛錬であり、積み重ねなのである。突き押し相撲の
富士桜はこう言っている。「(前略)私は夏の一ヵ月の巡業と二十
日以上ある十月の巡業を大事にしています。夏にミッチリ汗をかい
ても九月にすぐ効果が現われるとはいえないが、十一月場所(九州)
には間違いなく、けい古の成果が出ます。私の場合、この夏と秋場
所後の十月の巡業の二つを充分にやると、一年間の貯金が出来るの
です。」(話のふれ太鼓 北出清五郎著 廣済堂刊より)
そういうわけで豊昇龍が急速に横綱の力量がつくとは言い切れない。
ただ、稽古は好調のようではあった。しかし、立ち合いは1回でた
たず、すぐに汗を拭きにいく。元大関貴ノ花の藤島部屋、さらにニ
子山部屋になっても1回でたった。長い勝負ならスタミナ負けしな
い。

大の里はニ所一門の連合稽古に参加できなかった。横綱を目指す力
士としては一抹の不安を感じる。横綱への勢いはまだまだ感じられ
なかった。10勝-12勝だから五月場所で全勝しても3場所で38勝に
は届かない。輪島は3場所39勝、4場所50勝、5場所63勝だった。
またレベルの低い横綱を無理に誕生させる愚かさを繰り返すのか。
稽古総見で意外な姿を見た。元貴景勝の湊川親方である。ゴムマリ
のような体が激ヤセなのである。見間違いかと思ったほどである。
しかし、頭には髷があった。引退相撲は九月場所後である。

稽古総見にあたり、観客にはクジが配られていた。当選の中身には
幕内力士のお見送りがはいっていた。相撲仲間は皆はずれであった。
11時に終わり、国技館を後にした。