三月場所、新横綱として登場した豊昇龍は5勝に終わった。途中休
場の結果である。横綱として最初の躓きであり、五月場所は待った
なしである。横綱はこれまでどういう成績を残してきたのか。15日
制における千代の山以降の横綱の1ケタ勝利を検証してみた。

数字は場所数
横綱 横綱在位 7勝以下 8勝 9勝
千代の山 32 12 2 1
鏡里 21 3 4 2
吉葉山 17 8 1 3
栃錦 28 5 0 2
戦後の混乱期相撲はどうなるか見通せない時代であった。千代の山
はホープ中のホープであった。千代の山は新横綱の場所、9勝に終
わった。さらに横綱返上問題をおこしているだけに苦しんだ時期が
あった。昭和28年のことである。横綱連続優勝なしは12場所及び10
場所あった。

鏡里は横審に諮らず、協会だけで決めた横綱だった。初優勝だけで
横綱になった。新横綱の場所から10場所連続優勝がなかった。最後、
新聞記者に言質をとられ、9勝しかできず引退に追い込まれた。鏡
里にとっては明らかに不本意であった。
吉葉山はついに横綱優勝がなかった。したがって17場所連続優勝な
しであった。新横綱の場所いきなり全休であった。翌場所も不戦敗
後休場であった。出だしから躓いた。横綱1ケタ勝利が17場所中12
場所に及んだ。
栃錦は連続優勝で横綱に昇進した。それでも途中休場-9勝-9勝
-途中休場と苦難の時期があった。このとき8場所連続優勝なしで
あった。栃錦はその後復活した。14勝-15勝-12勝-12勝-14勝-
14勝のあと初日から⒉連敗するとあっさり引退した。師匠だった元
栃木山の春日野は「横綱はいつでもやめる覚悟をもっていなければ
いけない」。それも「桜の花が散るごとくきれいにやめろ」と教示
していた。

(この項目続く)