五月場所、阿武咲・小柳改め豊山が新入幕を
果たした。両力士とも期待される逸材として
下のころから注目を集めてきた。阿武咲・
小柳改め豊山はここまでどんな出世街道を
歩んできたのかみていこう。
2年かかっていない。スピード出世である。
その要因は少年のころから相撲を取り続けて
きたことが大きい。何より一般の力士より
相撲歴が長い。さらに、好きで取り組むか
いやいや取り組むかでは、段違いである。
何より、少年の頃から相撲を取ることは、
心身ともに相撲っ子となって根付く。ほかの
スポーツ、例えば水泳・サッカー・フィギュ
アスケートなどでも早くから取り組んだ者に
も見られる特徴である。輪島・遠藤も相撲
少年であった。
阿武咲で特筆すべきは、序ノ口から十両昇進
までただの1度も負け越しがないのである。
序ノ口以降11場所連続勝ち越しで十両入り
したのである。これは白鵬、稀勢の里もでき
ない快挙である。白鵬は序ノ口と三段目で
負け越し、稀勢の里は三段目と幕下で負け
越している。現役では栃煌山、栃ノ心が数少
ない勝ち越しだけの十両昇進達成者である。
新しい制度として三段目付出制度が始まった。
その最初の適用となったのが小柳と石橋(後
の朝乃山)である。昨年(平成28年)の三月
場所で小柳は三段目付出でデビューした。
そしてその場所で優勝した。快進撃は続き、
翌場所の五月場所で幕下優勝し、番付を大き
く上げた。小柳が底力を見せたのは、九月
場所幕下東筆頭のときである。いきなり3連
敗で窮地においこまれた。しかし、そこから4
連勝し、盛り返して十両入りを決定的にした。
若さと勢いでどこまで成長するかと期待され
たが、十両では一進一退であった。1度は
幕下にまで陥落した。結局新十両から2年
2場所という、長い期間をかけて新入幕を
果たした。この間十両優勝は1回もなかった。
阿武咲の相撲がどこまで幕内で通用するか
注目である。
小柳は3場所で十両を通過している。3場所
の成績は28勝だから、1場所平均9.3勝であり、
ゆるやかに番付をあげていった印象である。
十両優勝はない。農大-時津風部屋という
路線からなじみの豊山に改名した。三段目
付出以後目下7場所連続勝ち越し中である。