照ノ富士は予想を超える長足の進歩である。この日まで
日ごとに安定感を増してきた白鵬に対し、突き合い、押し
合いから照ノ富士右四つになるや白鵬に上手を与えない
絶好の体勢になった。白鵬の相撲の利点は反応が早く、
いつまでも不利な体勢でいない点である。照ノ富士は
間を与えず、攻め続け寄り切った。
書いた。新しい力照ノ富士は一月場所白鵬に善戦したが、
及ばなかった。遠藤が上位で勝てず、大砂嵐が相撲を悪く
して、上位に浮上できない今、期待は照ノ富士にかかって
いる。白鵬の壁を超えられるか。勝機は離れて取るか
相手に上手を与えない体勢をつくればチャンスである。
白鵬戦に勝利すれば照ノ富士は一挙に飛躍する。
まさにそれに近い取り口だった。この結果、優勝はこの日
決まらなかった。しらけ場所は一転して興味をつないだ。
照ノ富士は他の横綱・大関を超えて優勝戦線に浮上した。
知った顔、なじみの顔が関東から地方から前日、今日と続々
大阪府立体育館に集結してきた。明日14日目、あさって
千秋楽に来る者もいる。みんな相撲好きで、詳しい方
ばかりである。筆者の相撲人脈はかつての相撲サークル
仲間、大阪で知り合った方、その知り合いの知り合い、
地方から来て国技館の桝席でいっしょに観戦することに
なった方など。他に各会場で見かける顔が何人かいる。
彼らは相撲人気がなかったときから観戦し続けている。