まず、白鵬対豪栄道戦。今場所の調子からいって白鵬に
負ける要素はない。しかも豪栄道には連敗中だからなお
さら、負けるわけにはいかない。ところが、実際は豪栄道
が左四つから一気に寄って出た。白鵬はこらえる間もなく、
土俵を割った。2度あることは3度あるという結果と
なった。まさかの展開に館内はどよめき、座布団が飛んだ。
横綱戦ときかれ「マジすか。勝てるわけないです。横綱
だから」と語っている。事実稽古では鶴竜にうまく取られ、
まるで歯がたたなかった。しかし、稽古場通りいかない
のが本場所である。
立ち合い、逸ノ城つっかけるが鶴竜たてず。2度目、
逸ノ城の変化に鶴竜はばったり手をつく。再び館内は
どよめき、座布団が飛んだ。立ち合いの変化をやすやすと
くっていては相撲にならない。そんな立ち合いをした
鶴竜はいささか、いやこれ以上ないお粗末さである。
入門5場所目の脅威の新人逸ノ城は留まることを知らない。
のみである。しかし、両国は横綱・大関との対戦がなく、
単なる数字上のトップで真の優勝者といえなかった。
横綱梅ヶ谷・大関鳳は途中休場だが、横綱太刀山・大関
伊勢ノ濱はフル出場していた。
両国の成績は9勝1休み(不戦勝制度がなく、対戦相手が
休場すれば「や」扱いにされた)。太刀山は8勝1預かり
1休みである。この時代は協会が認定した優勝ではなく、
時事新報社が幕内最高成績者の額を両国国技館に掲げる
ためのものであった。
さて、これで14日目は白鵬対逸ノ城の1敗同士の決戦と
なった。白鵬が敗戦を引きずることなく、気持ちを引き
締め横綱の実力を見せなければ大相撲の屋台骨は大きく
揺らぐことになる。白鵬の責任は真に重大なのである。