初代若乃花といえば土俵の鬼と呼ばれ、その稽古はすさ
まじかった。人の3倍、4倍やっていた。大関・横綱と
地位が上がるにつれて、さらに2倍、3倍やったのである。
その若乃花が自分以上の鬼と語るのが力道山である。
ふたりが二所ノ関部屋に所属していた時期、巡業でよく
稽古した。幕下若ノ花が死ぬかと思ったほどの稽古で
あった。
昭和30年代のヒーローは間違いなく長嶋と力道山である。
プロレスラー力道山は「わしを強くしたのは打倒ルー・
テーズ(NWA世界チャンピオンになり、鉄人の異名が
ある史上最強のレスラー)である」と口にしていた。
稀勢の里も同様に「打倒白鵬」を掲げ、稽古に精進して
本物の強さ・地力を身につけることを望む。
これまで稀勢の里がみせた白鵬攻略法を振り返ってみよう。
2010(平成22)年十一月場所2日目 前頭筆頭
白鵬は稀勢の里戦によって63連勝でストップされた。この
とき白鳳は「これが負けか」と語った。なお、白鵬はこの
場所14勝1敗で優勝し、稀勢の里戦が唯一の黒星となった。
11戦全勝で優勝へ突っ走る白鵬を稀勢の里が黒星をつけた。
稀勢の里は12勝3敗で大関への足がかりをつかんだ。この
場所白鵬は13勝2敗で20度目の優勝。
初日から13連勝と無敵の快進撃で白鵬・稀勢の里が激突。
投げを仕掛けた白鵬に分があるかと思いきや先に土俵に