土俵の充実が叫ばれて久しい。だが、具体策となると
簡単ではない。しいて言うなら稽古につぐ稽古だが、
お題目だけになりそうである。
土俵の充実でひとつだけ大きく変わったことがあった。
古い映像をご覧になった方はお気づきだろうが、両者
手をおろさずに立ち上がっている相撲を目にする。立ち
合い手をおろさなくなったのは横綱でいえば栃錦から
である。それがいまでは両者がきちんと手をおろす正常な
カタチになった。
ときどき手をつくと表現する方がいる。だが、きちんと
腰を割って仕切れば手は自然とおりるのであって、つきに
いくものではない。
9日目の土俵は値千金の熱戦が続いた。稀勢の里対嘉風は
両者の攻防激しく、あわや稀勢の里敗れるかという寸前の
展開から何度も残し、両者力いっぱいの大相撲の末最後は
しのいだ稀勢の里が勝利した。日馬富士対松鳳山ももてる
力を十二分にだしあった内容ある相撲だった。注目の
白鵬-遠藤戦は予想外の展開となった。一気に走った白鵬
が遠藤を寄り倒した。
さてそこで提案である。熱戦賞を制定して、場所一番の
熱戦を展開した両力士を表彰してはいかがだろうか。前日、
横綱鶴竜が全敗の宝富士に対してみせた一瞬の変化相撲
より、ファンは両者力の限りの相撲が見たいのだ。その
ためにも熱戦賞の制定を望む。