照ノ富士は霧島、琴ノ若、豊昇龍に一度も負けてい
ない。琴ノ若は優勝決定戦を含8連敗中である。豊
昇龍は不戦敗を含め10連敗中、霧島は11連敗中と2
ケタに達した。さて、昭和・平成7横綱の2ケタ勝
利無敗はどれくらいあるのか、調べてみた。
双葉山。69連勝はいまだに破られていない最高記録
である。相手が立てばいつでも立つ立ち合いは超人
的である。その双葉山に挑んでついに勝てなかった
力士が笠置山である。双葉山の17勝0敗であった。
双葉山が前頭・関脇の時代も対戦している。
笠置山は戦前では珍しい大学出のインテリ力士であ
った。毎回正攻法で双葉山と対戦していたが、跳ね
返されていた。笠置山は10連敗以上もするとさすが
に奇襲を考えた。決心は変わらなかった。だが、不
思議なことに目の前で仕切る双葉山を見るとなんて
小さなことを考えているのだろうと思えてきた。
そして笠置山は正攻法でいってまたも敗れた。後年
時津風理事長となった元双葉山は「勘ちゃん(笠置
山の本名は勘治)は理屈で勝とうというんだもの。
そうはいかないよ」と語っていた。
双葉山はほかに出羽湊に15勝0敗、相模川に10勝0
敗だった。
大鵬は6場所時代の申し子であった。数々の記録を
塗りかえ、王者と呼ばれた。また休場明けよく優勝
したので不死鳥とも呼ばれた。大鵬は負けない相撲
だった。攻撃的な相撲は破綻がおきやすいと師匠の
元佐賀ノ花のニ所ノ関の方針だった。
安念山こと2代目羽黒山に勝ち続けた。どれぐらい
勝ち続けたのか。なんと21勝0敗である。大鵬が前
頭から横綱にかけての記録であった。
安念山は立浪四天王の一人で優勝経験がある強豪だ
った。ついに大鵬に勝つことはなかった。大鵬はほ
かに高見山に11勝0敗であった。福の花には10勝1
不戦敗であった。この不戦敗は大鵬引退時のもので
あった。