まず、最初に驚かされたのは、十両11枚目2勝12敗
日翔志と幕下筆頭5勝1敗の尊富士が組まれたこと
である。日翔志は幕下落ちが決定的、尊富士は十両
昇進が確定的だから入れかえ戦ではない。これほど
星に差がある取組が千秋楽におこなわれたのだ。相
撲は、当然出足鋭い尊富士が押し出した。
小結昇進の可能性をかけた西前頭筆頭7勝7敗宇良
は、同じく7勝7敗の北青鵬と対戦した。宇良の攻
めは果敢で闘志あふれる相撲で圧倒。北青鵬を土俵
下に押し倒した。最高位小結にかける宇良の思いが
優った相撲になった。やはり最高位が小結と平幕で
は大違いである。
琴ノ若対3敗熱海富士は本来優勝圏内にいたときに
対戦すべき取組だった。熱海富士は12勝すれば小結
の可能性が出てくる大事な一番である。しかし、相
撲は琴ノ若が上手だった。出てくる熱海富士を引き
落としてあっさり決めた。琴ノ若は11勝をあげた。
次の場所が大事になる。
貴景勝対霧島は貴景勝の気力にかかっていた。前日
大栄翔の突き出しに一方的に敗れた。同じタイプの
大栄翔には本来取り易いはずだったが後退し、簡単
に土俵を割った。大きく期待のできないなか勝負は
一瞬でついた。霧島の突き落としに貴景勝はもろく
も土俵に手をついた。
霧島は有終の美を飾り、13勝優勝を達成した。2回
目の優勝である。同時に62勝で年間最多勝を手中に
した。先場所1位の貴景勝は9勝に終わった。貴景
勝の横綱の可能性は今後薄くなった気がした。
福岡入りして15日。ながい戦いはようやく終焉を
迎えた。