蒼国来の引退大相撲チケットは琴奨菊同様当日売りを
求めた。だが、またしてもそれなりのけっこうな列が
できていた。しかも売り出しは10時だという。イスC
は販売されていない。情報通の話だと各種学校に配布
したという。販売されていたのはイスAとイスBのみ
であった。マス席は売り出されていなかった。
プログラムで目にはいったのは、勇輝と大波3兄弟=
長男若隆元、次男若元春、三男若隆景による相撲甚句
であった。それも従来あるものではなかった。土俵に
輝く三つの矢と蒼き空より海を越えてであった。勇輝
が歌い手で3兄弟が合いの手であった。勇輝は熱唱
した。弓とりもやるなどこの日は大活躍の一日であっ
た。
断髪式が始まった。ただし何人がはさみを入れるのか
はアナウンスされなかった。蒼国来は正面-西-向こ
う正面-東-正面と向きを変えていった。途中、車
イスの断髪者のために土俵を降りた場面があった。
協会関係者のはさみは若隆景ら部屋の関取、宮城野
(元白鵬)、鶴竜、一門の理事陸奥(元霧島)など
がはさみを入れた。照ノ富士のはさみはなかった。
スポットライトが蒼国来にあたる。土俵を離れた時
期、つらい日々を支えた方々。集めた署名。親方夫妻
の苦難。無実を勝ち取り土俵に復帰した。館内が明る
くなった。そして最後は先代荒汐元大豊の止めばさみ
となった。蒼国来は荒汐部屋最初の関取だった。髷は
離れ断髪は完了した。四方に礼をしたかつての師弟。
その後元大豊は挨拶を述べ、断髪式は終了した。
異色の対決が実現した。若隆景対若元春である。本
場所なら優勝決定戦でしかありえない。それだけでは
ない。35本の懸賞がついた。それも本場所のような
カラフルな懸賞ではない。紙に書いた白黒のお手製
である。勝負は力がはいる内容だったが、地力に勝る
若隆景が勝利した。
整髪を終えた蒼国来が驚きの登場を演出した。木遣り
とともに登場したのである。壮観な光景であった。
時間をかけて土俵に立った蒼国来が挨拶に立った。
蒼国来は苦労人であっただけにいい師匠になりそう
である。荒汐部屋のファンも増えてきている。前日
の琴奨菊引退大相撲よりは1時間以上早く終了した。