九月場所が迫るなか、横綱照ノ富士は優勝候補にあげ
られるのだろうか。今年(2022年)にはいって照ノ
富士はにわかに神通力を失ったごとく低空飛行が続い
ている。11勝-3勝3敗9休-12勝優勝-11勝であ
る。昨年は77勝13敗優勝4回だっただけにこの様変わ
りは気になる。むろん横綱として問題になるほどの
成績ではないが。
12勝優勝にしても大栄翔・玉鷲の苦手を克服すること
はできず、スキあり優勝だった。照ノ富士絶対が失わ
れた結果初優勝が2回でた。三月場所の優勝決定戦は
若隆景、高安どちらが勝っても初優勝だった。今年に
はいって4場所すべて優勝者は違うのである。昭和
47年は6場所すべて優勝者が異なった。その二の舞が
ないことを望むが、それも照ノ富士しだいである。
照ノ富士は一月場所千秋楽3敗で2敗トップの御嶽海
と対戦した。しかし、照ノ富士には何が何でも勝って
やるという闘志は伝わってこなかった。それは七月
場所千秋楽も同じであった。逸ノ城が3敗を守った
あとで照ノ富士は登場した。3敗照ノ富士に優勝する
という意気込みは感じられず、貴景勝に敗れた。
初代若乃花が栃錦を本割、優勝決定戦でともに撃破
した。輪島が北の湖を本割、優勝決定戦で連勝して
逆転優勝した。土俵の鬼、相撲アニマルだから成し
えたのではない。ほかにも逆転優勝を達成した力士は
複数いた。ただ、今の照ノ富士にはここ一番に対する
執着が薄れている。
照ノ富士は一人横綱である。照ノ富士を優勝という点
で脅かす者はいない。敵は自分自身である。九月場
所、照ノ富士は13勝以上の優勝ができるのか。これが
着目点になる。