大相撲

名古屋場所が揺れた日

2022年6月23日

6月から暑い日が続くなかで迎えようとしている名古
屋場所。名古屋場所が定着したのは昭和33年からで
会場は金山体育館であった。南洋場所といわれるほど
の暑さの中での開催だった。今の愛知県体育館は昭和
40年からであった。令和2年はコロナ禍で東京開催と
なったが、愛知県体育館では今年で57回開催される
ことになる。そんな名古屋場所が揺れたことがあっ
た。

新弟子暴行死というショッキングな事件が名古屋場所
前に起きた。亡くなった力士の名は時津風部屋の時太
山である。事件のいきさつはこうだ。17歳の時太山は
稽古や人間関係に悩み、脱走することがよくあった。
しかし、父親に説得され、やむなく部屋に戻っていた。
「僕いい子になるから」と実家に帰ることを懇願した
こともあった。

<時太山>

元双津竜の時津風はそんな新弟子に業を煮やした。
2007年6月26日、時太山を名古屋宿舎の稽古場でしご
いた。ぶつかり稽古を30分やらせるなど尋常でなかっ
た。親方自らがビール瓶でなぐり、幕下の3人の兄弟
子が金属バットで殴打するなど凄惨を極めた稽古と
なった。関取はこの日力士会のため誰もいなかった。
意識を失った時太山は病院に運ばれたが、1時間後に
帰らぬ人となっていた。名古屋場所を前にしてけして
あってはならない事件を起こしてしまった。

<時津風部屋の前におかれたビール瓶と金属バット>

始まりは2010年五月場所中、週刊誌が報じた野球賭博
であった。「大関琴光喜」が「口止め料1億円」と
脅迫されたと見出しに出された。記事によるとこうで
あった。
・5年前から手を染めていた
・負け金が数千万円になる
・口止め料として暴力団が1億円を要求
・複数の親方も関係していた 

<野球賭博を報じるスポーツ報知>

琴光喜は当初否定していた。ところが調査していくと
出るは出るはで収拾がつかなくなった。琴光喜と大獄
(元貴闘力)親方が悪質で解雇。10力士は1場所謹慎
となった。また、五月場所後に明るみに出たのが、
暴力団へ流した溜席チケット問題だった。事件がおき
たときは、まず、清見潟(元大竜川)と木瀬(元肥後
ノ海)が関与したとして処分がくだった。

名古屋場所、NHK放送はなく、ハイライトのみであっ
た。老人ホームは楽しみを失った。協会挨拶は村山
理事長代行がおこなった。優勝白鵬の表彰は優勝旗
のみであった。白鵬は「この国の横綱として、力士の
代表として、天皇賜杯はいただけたらなとつくづく
思う」とつらい心情を吐露している。

<表彰なき優勝の白鵬>

2011年一月場所後に八百長が発覚した。野球賭博で
没収した携帯電話で削除したメールを復元したところ
八百長の事実が明るみになった。そのため、三月場所
は中止。関わった力士は処分された。五月は技量審査
場所として無料開催することになった。迎えた本場所
が名古屋場所だった。八百長処分により、幕内7人・
十両10人が欠けるなかでの番付は大幅昇進あり、負け
越しての昇進ありで、かなり番付の原則を踏み外した
ものになった。

<技量審査場所で優勝した白鵬 旗手魁聖>

野球賭博の影響でガラガラだった前年以上に入りが
悪かった。観客の不入りの原因はお客さんが大相撲を
見放しているように思えた。相手の奥さんや子供の
顔が見えてと片八百長を容認するような発言をした
解説者がいた。認識の低さに愕然とした。片八百長を
やる力士はプロを辞めたほうがいい。そこには入場料
を払って見に来るファンへの裏切りであることをなん
とも思っていない。

<2011年7月の客席>

また、八百長力士と認定され、2年間の裁判でそう
いう事実はないと土俵に復帰したのが蒼国来である。
復帰は2013年の名古屋場所であったことを付記して
おく。

 

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  • この記事を書いた人

denkouriki

無類の相撲好き。きっかけは昭和42年、九重(元千代の山)が分家独立を許さない不文律の出羽海部屋から破門独立したことです。そのさい、千代の山を慕ってついていった大関北の富士がその直後の場所で初優勝した。こんな劇的なドラマを見せられたことが、大相撲から離れなくなりました。視点は監察委員を八百長Gメン、燃える要素があると強い北の富士を循環気質と呼んだ杉山桂四郎氏に。土俵の心は玉の海梅吉氏に、問題点を探るのは三宅充氏に、そして相撲の本質、真髄は小坂秀二氏に学んできました。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。

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