■専門誌
大相撲を知るにはまず、専門誌が欠かせない。以前は
「大相撲」(読売新聞社)という深く掘り下げた専門
誌があった。これで出羽海部屋の歴史、特に九重(元
千代の山)がなぜ独立しなければならなかったかを
知った。押尾川(元大麒麟)のお家騒動にともなう
二所ノ関暫定師匠のありように疑問を呈していた。
横綱は交代するものではないので○代ではなく、
○人目として扱った。2010年秋場所展望号を最後に
廃刊となったのは惜しまれる。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/06/大相撲-e1655870893148.jpg)
現在場所の総決算号を出版しているのは「相撲」(ベ
ースボール・マガジン社)のみという寂しさである。
全取組の勝負、決まり手つきという記録の宝庫である。
予想番付もアップ・ダウン幅が明示してある。相撲
部屋の一門、部屋の年寄コーナーは必ず目を通すよう
にしている。貴乃花一門を貴乃花自ら解消したときの
扱いには注目したものである。
■単行本
相撲の本質・真髄は小坂秀二氏に学んだ。だからどう
しても彼の著書が多くなってしまう。
がちんこ相撲(いんなとりっぷ社)
栃若時代(光人社)
我が回想の双葉山定次(読売新聞社)
貴ノ花大関への軌跡(冬青社)
昭和の横綱(冬青社)
大相撲ちょっといい話(文春文庫)など
小坂氏といえば双葉山に傾倒し、相撲を見る基準に
双葉山においた方である。そして双葉山の相撲を見た
ことが、自分の運命さえ変えてしまった。双葉山に
対してこう記している。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/06/双葉-e1655870930518.jpg)
双葉山の真価を伝え、相撲の真髄を伝えるに力不足は
否めないが、せめて私の感じたことだけでも書き残し
ておくことが務めではないかと思う。双葉山の求めた
ものは、相手から得られる勝利でもなく、まして観客
の賞賛でもなかった。また、単なる相撲技の習熟、
完成というものでもなかった。言うなれば、相撲を
通じての自己完成への努力であろう。
玉の海の死去に際した貴重な話が収められているもの
もある。双葉山が求めたものは何か。TBS相撲アナ
だった著者が戦後の混乱期相撲から離れなくなった
エピソードにも触れている。
土俵の心は玉の海梅吉氏に学んだ。
これが大相撲だ(潮文社)
土俵の中には、名誉も金も埋まっている、という教え
を「ものを求めるから相撲がおかしな方向にいく。
土俵の中は赤土だけ」と前記の教えを戒めた。また、
「稽古で培ったものを本場所で発揮する。いちかばち
かの変化なんてもったいなくてできないですよ」今
こんな解説は聴けない。単行本は玉の海さんを集約
したモノである。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/06/玉の海-e1655870947305.jpg)
大相撲力士名鑑 京須利敏・水野尚文編著者
(共同通信社)
明治の両国国技館開設以降の幕内力士名鑑である。
部屋別力士や四股名の分類などに使え、大変便利な
一冊である。優勝力士・三賞力士・横綱一覧はいまや
専門誌にはないがここにはある。毎年発行されている。
古い版には明治の幕内力士の一覧があった。所属部屋
の年寄名がそのままでてくるため、元誰なのかわから
ないのが難点である。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/06/力士名鑑-e1655870965932.jpg)
単行本は数が多く、ほかにも能見正比古著相撲部屋
物語などいい本はたくさんあるが、ここでは限定させ
ていただいた。
(この項目続く)