五月場所の照ノ富士は優勝したもののなん
とか結果的にという言葉がつきまとう優勝
だった。一時は隆の勝にリードされていた。
だが、隆の勝が自分の相撲を取れず、くず
れたことによって巡ってきた優勝だった。
昨年のように抜群の強さを発揮できなかった。
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その照ノ富士に勝って殊勲賞を獲得したのが、
大栄翔である。大栄翔は照ノ富士が横綱に
なってから3勝2敗である。その2敗もあわ
やというところまで照ノ富士を追い込んで
いる。勝った相撲は印象に残り勝ちなので、
大栄翔の横綱照ノ富士戦あわや2番を振り
返ってみよう。
2021年十一月場所2日目、相撲はこう展開
した。大栄翔が押して出るが、照ノ富士が
あてがい前に出る。両者激しい攻防のなか、
照ノ富士は前に出ているだけに、大栄翔の
押しは封じられたかと思った。だが、大栄翔
は照ノ富士の左脇を押し上げて、重心をくず
した。そのまま黒房下土俵へ攻め込むと、
照ノ富士は上体が起き、つま先だって絶体
絶命の大ピンチに陥った。横綱が負けたかと
思った瞬間、右がはいった照ノ富士が豪快な
すくい投げ。大栄翔が派手に飛んで土俵に
落ちた。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/06/211115二日目幕内-1260.jpg)
2022年一月場所初日、大栄翔、もろ手突きで
思い切ってあたる。さらに押しあげて照ノ
富士の上体を起こしにかかった。照ノ冨士、
土俵際から押し戻す、攻防のなかから大栄翔
いなしも照ノ富士ついていく。激しい攻め
合いから大栄翔、はず押し。照ノ富士正面
まわり込むもピンチに。しかし、次の瞬間
大栄翔がばったり前に落ちた。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/06/220109初日幕内-1326-e1654649385814.jpg)
負けた2敗は大善戦。もう一歩だった。大栄
翔は照ノ富士キラーになった。もう一人の
照ノ富士キラーが玉鷲である。目下3連勝中
である。相撲はいずれも玉鷲が繰り出す強烈
な突っ張りで照ノ富士を後退させて勝利して
いる。照ノ富士は玉鷲戦では同じ攻めパター
ンに何もできなく敗退している。
![](https://dohyounomokugekisya.net/wp-content/uploads/2022/06/220513六日目幕内-965-e1654649406443.jpg)
前兆はあった。2021年九月場所8日目の玉鷲戦
である。玉鷲が照ノ富士を東土俵に追い込ん
だ。館内から思わず悲鳴が聞こえたほどの
ピンチだった。あと一歩及ばず逆襲にあい
勝てなかった。照ノ富士本人はそれほど危な
いという意識はなかったかもしれない。落ち
着いてはいた。
横綱は、苦手があってはいけない。あるなら
克服しなければならない。幸い出稽古が復活
した。照ノ富士は大栄翔と玉鷲を指名して
三番稽古を何回もしなければいけない。それ
も場所直前ではなく、いまのうちにである。
七月場所でその成果をぜひ見せていただき
たい。