貴乃花親方が突然協会を離職したのは2018年
9月末のことであった。貴乃花は記者会見を
やってあとのことは弁護士に任せて去った。
協会にも、これまで貴乃花一門として支えて
くれた親方にも挨拶なしで辞めていった。
通常の社会概念なら関係部署を中心に送別会
をしてねぎらうものだが、それさえもなかっ
た。
当時貴乃花には8人の弟子がいた。貴乃花は
彼らを元隆三杉の千賀ノ浦に託した。託すに
あたって預かっている弟子の親御さんにどう
いう説明をしたかは知らない。その8人の
弟子はその後どうなったか。2018年の12月、
巡業中貴ノ岩の付け人への暴行が発覚した。
これまで暴行の被害者であった貴ノ岩が一転
加害者になるのだから、世間は驚いた。貴ノ
岩は初のケースだから引退はなかった。だが、
貴ノ岩は責任を取って引退する決意が堅く、
相撲界を去っていった。
貴公俊は控えに入る連絡が遅れたとして付け
人を支度部屋でぶんなぐった。2018年三月
場所のことである。ほかの力士がいる目の前
でおきた事件であった。貴公俊は1場所出場
停止となった。これまで暴行事件の被害者と
してかたくなな姿勢で対応してきた貴乃花
親方にとってブーメランのようにはね返って
きた。
貴公俊は貴ノ富士と改めてから再び付け
人への暴行が発覚した。それも仕事ができ
ない、遅い新弟子に対して障がい者、ひよこ
などと呼び、返事はコケといえなど人間性を
疑われる言動まであった。貴ノ富士は協会の
処罰に抵抗したが、自主的な引退に追い込ま
れている。
2020年には貴天秀、貴乃花最後の弟子貴正樹
が辞めている。そして貴ノ富士の双子の弟
貴源治が大麻で解雇されたのは2021年七月
場所後である。つい最近のことである。大麻
は犯罪である。そんな自覚すらなかったの
だろうか。処分に弁明の余地はなかった。
こうして貴乃花のかつての弟子は5人去って
いった。そのうち3人は問題ある辞め方で
あった。これはルーツの貴乃花部屋に問題が
あったとしか思えない。現在残っているのは、
大関貴景勝、十両貴健斗、三段目貴大将の
3人である。時とともに貴乃花の影は薄く
なっていった。
雨の日でした。
興味深いテーマをこれからもお届けします。