今の幕内で大関を目指せる力士は朝乃山しか
いなかった。その朝乃山の大関が番付編成
会議及び臨時理事会で正式に決定した。大関
朝乃山の誕生である。伝達式では「大関の名
に恥じぬよう、相撲を愛し、力士として正義
を全うし、一生懸命努力します」と口上を
述べた。
朝乃山は右四つの相撲である。右四つといえ
ば双葉山、玉の海を思い起こさせるが、彼ら
は腰で取る相撲であった。朝乃山は圧力と
出足で取る相撲である。圧力はそうとうな
モノがある。これが朝乃山の強さになって
いる。一時期、突き押しのパワー相撲に苦戦
していたが、解消された理由も圧力である。
朝乃山の課題は何か。大関となった以上優勝
争いをすることである。朝乃山が上位であげ
た最高成績は11勝である。これでは優勝に
遠い。これまでは白鵬・鶴竜が休場しても
大関は優勝できなかった。朝乃山にそんな
大関になってほしくない。横綱が休場しよう
が、出場しようが優勝争いをしていただき
たい。
大関の優勝は2017年一月場所の稀勢の里以降
ない。平幕・小結・関脇優勝があるのに、
その上に君臨する大関に優勝がない。これ
では大関の存在価値は失われる。朝乃山には
ぜひこの現状を打破していただきたい。
大関は2場所連続負け越さない限り、関脇に
降格することはない。だが、この規定にどれ
だけの先輩大関が甘え、1ケタ勝利の山を
築いてきたことか。15日制の大関で10勝以上
が9勝以下より多い最高位大関の力士は、
琴風しかいない。朝乃山がこの規定で気が
緩むことがあると、同じ徹を踏むことになる。
そんな朝乃山は見たくない。
近畿大出身だが、学生相撲の先輩といえば
豊山(前名内田)が横綱の可能性を秘め、
輪島が横綱になった。朝乃山は現在26歳で
ある。豊山が大関になったときは25歳である。
輪島が大関になったときは24歳である。輪島
は大関4場所で横綱に昇進した。この点朝乃
山は一歩遅れた。
豊山が大関にあがったときは大鵬という壁が
あった。輪島が横綱になったときは北の富士、
琴櫻の先輩横綱は下降期に入っていた。白鵬・
鶴竜は晩年に入っている。それだけに朝乃山
にはトップになるチャンスがある。
朝乃山が大関に昇進したことで、これからは
ほかの力士の朝乃山を見る目が違ってくる。
それに対し、朝乃山がどんな相撲を見せる
のか。五月場所の行方が気になる。
自転車で遠征しました。
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