稀勢の里は本調子ではない。稀勢の里は五月
場所を休んだほうがいい。いまや稀勢の里の
出場に誰もが不安を口にする。もはや6場所
連続優勝の稀勢の里には後はない。今度出場
すれば進退をかけることになる。ここへきて
風邪で体調が悪いまで加わった。それだけに
中途半端に出場してほしくないと相撲ファン
は願う。
そこまではいい。しかし今場所休場したと
しても、問題は先送りされるだけである。
今後出場できるだけの状況をつくりだせる
のだろうか。力負けしないパワーの復活、
左四つ十分な相撲。要するに稽古十分で自信
がもてる相撲である。
実は、稀勢の里とある横綱の影が重なりつつ
あるのでは、と危惧している。その横綱は
武蔵山である。戦前、玉錦後の横綱である。
右差しの寄り、下手投げ、強靭な足腰でたち
まち、大関、横綱とスピード出世をとげた。
モダンな容貌と筋肉質な体型が加わり、人気
も抜群だった。
しかし、昭和6年小結時代初優勝の翌場所に
悲劇はおきた。沖ツ海のぶちかましに右ひじ
は破壊されてしまった。その右ひじは横綱に
なって悪化した。そのため横綱時代は7場所
休場。皆勤は1場所で7勝6敗だった。
武蔵山の悲劇が稀勢の里にも忍び寄っている
のではないかという懸念がぬぐえない。稀勢
の里の休場の始まりは、新横綱の場所で左肩
と胸部を負傷したことである。救急車で病院
に直行するほどの大ケガだった。それなのに
中途半端に出場して、負けが込むと休場を
繰り返した。稀勢の里は武蔵山の運命を辿る
のか。
今の稀勢の里に足りないのは必死さである。
必死さがまるで伝わってこない。これなし
には再起はありえない。
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よしなに
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