三月場所は千秋楽を待たずに鶴竜が4回目の
優勝を決めた。昨年(平成29年)は6場所中
5度休場という窮地に陥った。フル出場した
三月場所も10勝5敗と平凡な成績に終わって
いる。それを思えば、よく立ち直ったもので
ある。
鶴竜は技能賞を6回受賞していることから
わかるように、うまさで取る相撲である。
うまさが手順通りにいけば問題はないが、
パワーに圧倒されると勝利の方程式が崩れる。
それでも4回優勝し、優勝同点が2回ある。
昨年以外は毎年優勝してきている鶴竜の優勝
をふり返ってみる。
鶴竜の初優勝は大関12場所目であった。大関
7場所は1ケタ勝利であったわけだから、
大関在位の半分以上にあたる。そのせいか
鶴竜の大関在位は低迷感がある。その鶴竜が
大関11場所目の平成26年一月場所、千秋楽
白鵬に勝って14勝1敗で優勝決定戦にもち
こんだ。決定戦では白鵬に及ばなかったもの
の、大きなステップを踏み出した。
翌三月場所、3日目隠岐の海に敗れながら
白星を重ね、横綱日馬富士、大関稀勢の里、
横綱白鵬を撃破して初優勝を達成した。9勝、
14勝優勝同点、14勝優勝で横綱昇進を決めた。
旭富士から日馬富士まで続いていた連続優勝
での横綱昇進は鶴竜でストップした。鶴竜は
鏡里、吉葉山、柏戸、2代目若乃花、三重ノ
海同様初優勝だけで横綱に昇進した(横審
誕生以降)。後に稀勢の里も初優勝だけで
横綱に昇進している。
鶴竜は横綱に昇進したものの優勝は遠かった。
チャンスが来たのは横綱9場所目の平成27年
九月場所であった。この場所は横綱白鵬、
日馬富士が休場であった。鶴竜と優勝を争っ
たのは若手の大関照ノ富士であった。
千秋楽2敗の鶴竜と3敗の照ノ富士が激突
した。照ノ富士は本割で勝ったが、優勝決定
戦を鶴竜が制して横綱初優勝を苦労の末成し
遂げた。
3回目の優勝は平成28年の十一月場所であっ
た。この場所は横綱日馬富士、白鵬、大関
稀勢の里が取りこぼすなか、鶴竜は初日から
快調に白星を重ねた。稀勢の里に1敗はした
もののそのまま逃げ切り、14勝1敗で3回目
の優勝を達成した。
そして今回の優勝は、平成29年の不振で進退
をかけた場所で11勝をあげた翌場所で実現
したわけである。熱狂的な鶴竜ファンは、
もう1回優勝して5回目まで数字を伸ばす
ことを念願している。
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