今年の五月場所、宇良が11勝をあげながら、
三賞を受賞できなかった。これはいささか
腑に落ちない決定であった。三賞には運、
不運がつきまとうのか。新入幕の10勝は敢闘
賞かと思いきや龍皇は受賞でなかった。龍皇
にとっては幻の敢闘賞であった。
優勝32回、6連覇2度、45連勝(誤審記録)
など数々の記録に彩られた大鵬も三賞には
縁が薄かった。大鵬の平幕、小結、関脇在位
は、わずか6場所である。この6場所で11勝
以上5度の成績がありながら、3回しか受賞
していないのである。
これに対し、ライバル柏戸は平幕、小結、
関脇在位12場所で、三賞を8回受賞している。
柏戸は特に技能賞を4回も受賞している。
昭和35年一月場所、新入幕の大鵬は初日から
勝ち続け、ついに11連勝。大鵬の止め役に
選ばれたのが小結柏戸である。相撲は力が
入った内容になったが、柏戸が下手出し投げ
で大鵬を止めた。大鵬は新入幕で12勝3敗を
あげ敢闘賞を受賞した。

<大鵬新小結の記事>
翌三月場所は初上位で7勝8敗と負け越した
が、五月場所は横綱朝潮を倒し、11勝4敗で
再び敢闘賞を受賞した。ここまでは順調で
ある。続く七月場所は新小結で11勝4敗なが
ら三賞はなかった。もっとも、当時は系統別
総あたりであるから、横綱若乃花、大関琴ヶ
濱との対戦はなかった。
九月場所、大鵬は新関脇で12勝3敗の堂々
たる成績で技能賞を受賞した。この場所ライ
バルの柏戸は大関に昇進し、12勝3敗をあげ、
将来2人の時代が来ることを予感させた。

<大鵬初優勝の記事>
十一月場所、関脇大鵬は13勝2敗で初優勝を
成し遂げた。入幕から6場所目の快挙であっ
た。ところが思いがけない結果が待ち受けて
いた。関脇優勝の大鵬が三賞なしだったので
ある。今では考えられないことである。大鵬
の将来性から優勝は当然とみなされたふしが
ある。
これは昭和32年三月場所、朝汐が2度目の
関脇優勝で三賞なし以来のことで、史上2人
しかいない。大鵬は三賞に縁が薄かった数少
ない偉大な横綱だった。
手形を整理。錦木の墨手形が最も新しい。
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