大相撲

横綱10大史4 歴代横綱誕生

2017年8月21日

江戸時代、最後に横綱を免許されたのは陣幕
であった。陣幕が吉田司家から横綱を免許
されたのは1867(慶応3)年10月であった。
大関2場所後であった。
1966年冬場所 8勝1分
1967年春場所 7勝2分 10月横綱免許
1967年冬場所 7勝2休 引退
陣幕は大関3場所で引退している。場所数が
少ないのは上がつかえていたためである。
江戸時代、大関の張出がなかったのである。
だが、横綱免許後はわずか1場所しか務めて
いない。ただし、五条家から横綱を免許され
たのが、1867(慶応3)年正月であるから、
こちらは2場所務めたことになる。
陣幕久五郎横綱土俵入り 国輝画
<陣幕の錦絵>

陣幕は引退後の明治28年ごろ、力士碑を建て
るべく奔走していた。そして横綱史上とてつ
もない発想をした。それは横綱を免許された
力士をピックアップして横綱力士碑を建立
しようとしたのである。地位でもなく、ほか
にも強豪力士がいる中で今までそういう発想
をした者はいなかったし、必要性がなかった。
横綱を特別に選ばれし者ととらえ代数をつく
り、文書にした。さらに明治33年、深川の
八幡宮に建碑のときは、小錦が書き加えられ
た。それが以下である。
横綱文書
<陣幕久五郎通高事跡より>

これを見るといくつか疑問が出てくる。
1.横綱免許の年は正確なのか
横綱免許の年は以下である。

谷風  1789年(寛政元年)11月
小野川 1789年(寛政元年)11月
阿武松 1828年(文政11年)2月
稲妻 1830年(文政13年)9月
不知火(諾)1840年(天保11年)11月
秀の山 1845年(弘化2年)9月
雲竜 1861年(文久元年)9月
不知火(光)1863年(文久3年)10月
陣幕 1867年(慶応3年)
1月五条家 10月吉田司家
鬼面山1869年(明治2年)2月
境川 1876年(明治9年)2月五条家
   明治10年10月吉田司家承認
梅ヶ谷1884年(明治17年)2月
西ノ海1890年(明治23年)3月
小錦1896年(明治29年)3月

陣幕の文書では阿武松、稲妻、雲竜、不知
火(光)、鬼面山、なにより自身の陣幕の
横綱免許の年が異なっている。
170818横綱碑 010
<横綱力士碑 文字と異なり竣工式は明治33年>

2.初代明石、2代綾川、3代丸山に横綱
免許と土俵入りの史実なし
明石、綾川、丸山の3人には横綱の免許を
受けたことと土俵入りの史実がない。吉田
司家が谷風・小野川の土俵入りの許可を寺社
奉行に出したとき、先例として綾川、丸山の
例があるとして許可を受けたところからきて
いる。しかし、これは許可を得やすくする
ための方便であった。ただ、陣幕は相撲史に
通じていたわけではなく、人の知恵を借りた
面があった。

3.横綱を代として数えるのは正しいか
歴代首相、40代式守伊之助、3代目若乃花
などは同時に存在しない。交代するもので
あるからだ。これに対し横綱は同時に存在
する。日馬富士が横綱に昇進したからといっ
て、現役横綱の白鵬と交代するわけではない。
そう考えると横綱を代数で数えることが適切
なことかどうか。専門誌読売「大相撲」では
横綱の数え方として○人目を採用していた。
170818横綱碑 018
<刻まれた横綱の名>

日本史は見直しが進んでいる。しかるに横綱
は陣幕以来のままである。後世に伝える姿勢
として本当にこれでいいのだろうか。少なく
とも検討は必要であろう。

多数の資料との格闘でした。

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  • この記事を書いた人

denkouriki

無類の相撲好き。きっかけは昭和42年、九重(元千代の山)が分家独立を許さない不文律の出羽海部屋から破門独立したことです。そのさい、千代の山を慕ってついていった大関北の富士がその直後の場所で初優勝した。こんな劇的なドラマを見せられたことが、大相撲から離れなくなりました。視点は監察委員を八百長Gメン、燃える要素があると強い北の富士を循環気質と呼んだ杉山桂四郎氏に。土俵の心は玉の海梅吉氏に、問題点を探るのは三宅充氏に、そして相撲の本質、真髄は小坂秀二氏に学んできました。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。

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