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稀勢の里の変遷 6

平成21年五月場所、番付を東4枚目まで下げ
た稀勢の里の横綱・大関戦は、日馬富士、魁
皇戦のみであった。ここで13勝2敗と大きく勝
ち越した。この場所は端境期で、翌場所から
関脇を中心とした第2次三役定着期に入る。
09
<右稀勢の里 隣は把瑠都>
 
平成22年の三月場所のメモをみてみる。
明日の日本人ホープ、人材は豊富だ。稀勢の
里、豪栄道、栃煌山、土佐豊、琴奨菊…。しかし、
6日目まで見る限り、どの力士も突破力がない。
土俵をわかす熱戦も少ない。
稀勢の里の名前はあがっているが、この時点
では未知数であった。
平成22年の五月場所。この場所稀勢の里は8
勝7敗。
10日目のメモから。
次の大関を予想する。10日目を終えたが、10
勝が見えてきた力士は関脇・小結・前頭上位
にいない。素材は申し分ない力士はいるが、
短期間に大関が生まれる要素はみあたらない。
幕内にはスピード出世で入幕した阿覧、土佐
豊もいるが、まだ上位で勝ち越した経験がな
い。大関候補として、実力者で横綱・大関に
とって危険な相手である稀勢の里をあげたい。
あとは大勝ちするきっかけをつかむことであ
る。
ここで稀勢の里の名はでてくるが、きっかけが
必要である。
   

きせ対みつきA
<平成22年五月 琴光喜を倒した稀勢の里>

この場所中、場所後、野球賭博で暴力団に資
金が流れたのではと、角界は大揺れの連続だ
った。相撲部屋に警察力が入ったことさえあっ
た。琴光喜は、野球賭博内容悪質と判断され
たことで解雇された。翌場所の七月場所は出
場停止力士が多数出た。NHKの中継はなく、
短縮版が放送されただけであった。
野球賭博A
<野球賭博を報じるスポーツ報知>
 
暗いニュースばかりではない。白鵬は4場所
連続全勝優勝を達成して、双葉山の69連勝に
挑もうとしていた。71年(当時)たっても破れぬ、
誰も迫ることができなかった双葉山の連勝記
録にただ一人チャレンジしたのが、白鵬であっ
た。そしてこれにストップをかけたのが、ほか
ならぬ稀勢の里であった。
十一月場所メモから
十一月場所最大の焦点、白鵬の双葉山超えの
70連勝達成は63連勝で終わってしまった。九
月場所まで62連勝。さすがにここまでくると白
鵬も意識せざるをえない。白鵬の敗因は十分
に組み止められず、稀勢の里の張り手に熱く
なった。稀勢の里の寄りに内掛けも白鵬らしく
なかった。負けるときはこんなものかもしれな
い。殊勲の稀勢の里は休みなく攻め、白鵬に
右四つを許さなかった。妥協なき危険な相手
であり、実力者であるだけに連勝ストップの
可能性は高かった。
r連勝ストップA
<白鵬を攻めたてる稀勢の里 連勝を63でストップ>
 
白鵬はこの場所14勝1敗で優勝した。稀勢の
里がストップをかけなければ、5場所連続全
勝優勝で、連勝は77以上のびた可能性があっ
た。稀勢の里は値千金の歴史的1勝をあげた。
(この項目続く)

7月、名古屋の旅支度しなければ。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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