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重い横綱の責務

三月場所、琴奨菊の横綱昇進は8勝7敗で振り出しに戻
った。琴奨菊に関してはあることを想像してしまう。仮に
琴奨菊が横綱に昇進したら、横綱としての責任を果たし
ていけただろうか。あっさり、引退に追い込まれる可能性
がないとは言いがたい。それは琴奨菊にとって、果たし
ていいことなのか。「横綱昇進内規改造論」を執筆したの
も、安易な横綱づくりを戒める意味があった。
160320八日目幕内 625
<三月場所の琴奨菊>
 
三月場所は、横綱日馬富士と鶴竜が9勝6敗、10勝5敗
と共に横綱の責任を果たしたとは言えなかった。なぜ、
こんなことになるのか。横綱は栄光に彩られているとは
限らない。悲劇だったのが、栃ノ海である。ワンチャンス
で横綱に昇進したが、不成績が続き、最後は誰とやって
も勝てる気がしなかった。大関でいれば名人大関であっ
ただろうに。そのうまさは栃錦以上だった。
110910初日前日 102加工
<優勝額を前に健闘を誓う白鵬(左)と日馬富士>
 
初代若乃花は、横綱に推挙されたとき、「これは大変な
ことになった。困ったなあ、弱ったなあ」と頭をかかえて
いた。横綱は負けがこんだら引退につながる。大勢の
家族を養うために、引退はできない事情があった。横綱
は、陥落がある大関とは明らかに異なる。しかし、なった
以上はやらなければいけない。
「苦しくなってやめてしまうのでは稽古にならない。それ
を超えてやれば、本場所で長い相撲になれば、勝てる
という思いがあった」と語っている。初代若乃花は猛稽
古で悩みを解消し、時代を築くほどの横綱になった。
栃木山は真剣に、大関は三役の倍稽古しろ、横綱は大
関の倍稽古しろと言っていた。双葉山は相手が立てば、
いつでも受けて立つ立ち合いをした。後の先の立ち合い
を完成させた。相手が信頼してぶつかれる横綱であった。
横綱は勝つだけでなく、横綱らしい相撲を取った人であ
った。
150927千秋楽幕内 834
<優勝決定戦で照ノ富士を倒した鶴竜>
 
日馬富士・鶴竜はもっと自覚して、強さを身につけなけ
ればいけない。横綱の権威を傷つけることがないよう、
厳粛な気持ちで責務を果たしていただきたい。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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