2006(平成18)年五月場所、白鵬が新大関として初優勝
したときは双葉山、照国以来の大関2場所で横綱昇進か、
と騒がれた。翌場所の七月場所は白鵬にとって綱取り場所
だった。しかし、白鵬は初日朝赤龍、8日目に先場所
不覚をとった雅山にまたしても負けた。だが、琴欧洲・
千代大海・魁皇の大関陣を突破して千秋楽を迎えた。
横綱朝青龍は14日間全勝できていて快調だった。2敗差が
あったため、優勝は朝青龍に決定していた。白鵬が朝青龍
を倒して13勝をあげれば横綱昇進かという点に焦点は
移っていた。ところが相撲協会はたとえ白鵬が朝青龍に
勝っても横綱昇進はないと発表した。理由は朝青龍優勝の
流れの独占を許したというものであった。NHK解説者の
舞の海さんは「だったら、朝青龍と白鵬を14日目にあてる
べきだ」と発言している。
<七月場所千秋楽朝青龍対白鵬戦後に座布団が舞った>
横綱朝青龍と大関白鵬の対戦は白鵬が勝って13勝をあげ、
次の場所へ綱取りをつなげた。しかし、ここから白鵬の
苦悩が始まった。8勝、全休、10勝と優勝争いさえでき
ない場所が続いた。
チャンスが訪れたのは2007(平成19)年の三月場所であった。
横綱朝青龍、白鵬とも千秋楽を勝ち、13勝2敗同士の
優勝決定戦となった。番付からも、本割で朝青龍が白鵬に
勝っている点からも朝青龍有利であった。だが勝負は意外
な結末を迎えた。立ち合い白鵬がはたくと朝青龍はこらえ
たが指先が土俵についたのである。一瞬のできごとで
あった。どんな漫画家も小説家もこんな展開は絶対に
作品にもり込まむまい。
かくして白鵬は2度目の優勝を久々に成し遂げたのである。