涼しくなったと思ったらやや暑さが戻った中で九月場所が
始まる。相撲ほどあっという間に勝負がつくものもないが、
反面柔道や剣道より勝敗が明確なことも確かである。
日本人は自国の文化のよさになかなか気がつかない。
はさみも糊も使わないで1つの形をつくりだす折り紙。
インドで発祥した将棋が西洋に行ってチェスになり、
東洋に行って中国将棋、朝鮮将棋になった。しかし、
将棋を一番面白いゲームにしたのは日本である。それは
取った駒がもう一度使えるからである。これが千万変化を
うんだ。
さて翻って、大相撲はどうだろうか。古い話だが、アメ
リカ兵が相撲が見たい、取ってくれというのでアマ力士達
が右四つで始めたら「ノーノー、そんなの相撲じゃない」
って言った。このエピソードは大相撲の特徴を物語って
いる。
格闘技はボクシング・空手のように離れて戦うか柔道・
レスリングのように組んで戦うかのどちらかである。
ところが相撲は離れて戦っていたかと思うと組んだり、
その逆もある競技である。
言う方もいる。また、優勝が決まった後の試合ではタイ
トルをめぐってオーダーを組んだり、来季に向けて若手を
試験的に使ったりする。
だが大相撲はよくできた制度で消化試合はない。次の場所
の番付を少しでもよくしようとする戦いがある。なかでも
十両と幕下の入れかえ戦では壮絶な死闘が繰り広げられて
きた。本当は番付ごとに給与が違えばもっと激しい相撲が
見られるのだろうが。将来真剣に考えてみてはいかがだ
ろうか。