今年に入ってから毎場所ひっそりさりげなく行われる取組を
ご存知だろうか。その一番は13日目観客がまばらな中、
序ノ口で見られる。幕下以下は通常7番取るが、この一番は
6休後唯一の土俵上での戦いとなる。
力士の名は竜電。幕下時代は専門誌にホープとして取り
上げられ、2012(平成24)年九月場所で幕下優勝をして
翌十一月場所十両入りした。しかし、その場所股関節を
痛め、途中休場となった。そのため幕下に転落。直後の
場所こそ出場したが、その後全休、途中休場、全休が続き、
今年の一月場所はついに序ノ口まで陥落した。
<2014(平成26)年三月場所 竜電(左)対魁光稀>
ここで全休すると番付外となってしまうため一番だけ
出場しているのである。さすがに序ノ口では相手をやんわり
出して1勝している。1勝6休、竜電はこの成績を一月
場所から七月場所まで続けている。
<2014(平成26)年五月場所 竜電(左)対山下>
竜電の本当の戦うべき相手は序ノ口力士ではない。苦悩、
迷い、不安、あるいは絶望も入るかもしれない。機会が
あるなら竜電の戦いを直接ご覧になることをお勧めする。
<2014(平成26)年七月場所 白美山対竜電(右)>