白鵬がもつ記録に連続7場所中日勝ち越しがある。
2011(平成23)年一月場所から翌年の三月場所までに
なしえた記録である。(注:2011(平成23)年の三月
場所は中止)これは横綱玉の海の6場所連続中日
勝ち越しを抜く記録である。この記録は相撲の
安定度を証明している。2人は同じ太刀山型の土俵
入り、右四つと共通点が多いが、決定的に違う点が
ある。
玉の海は腰で取る相撲であり、双葉山と比較する
楽しみがあった。最後の場所となった1971(昭和46)
年九月場所七日目、玉の海は貴ノ花戦にもろ差しに
なられ、外掛けの奇襲を受け、腰が崩れた。だが
次の瞬間もうひとつの腰でのこし、貴ノ花の両腕を
抱えて土俵下に放り出した。二枚腰が発揮された
瞬間だった。
この場所後以前から発覚していた虫垂炎を手術したが、
その後併発した急性冠不全で玉の海は帰らぬ人と
なった。大相撲を見始めて以来最も悲しい出来事で
あった。白鵬が双葉山と比較されたのは連勝記録で
あった。玉の海が双葉山と比較されたのは取り口の
面であった。2人の違いはそこにある。今後白鵬が
後の先の立会いを身に付けたとき、新たな比較論が
生まれる。