最高位大関の優勝は極めて珍しい。最高位大関で優
勝経験のない大関はけっこういる。琴ヶ濱、豊山な
どである。そんななかで今年(2023年)の一月場所
貴景勝が通算3回目の優勝を成し遂げた。そのとき
義父の北天祐の通算2回の優勝を超えたことをうれ
しく思うという趣旨を語った。
最高位大関の通算優勝3回は清水川、小錦、千代大
海、栃東と並んだことになる。もっとも清水川は戦
前の大関で場所数が異なる。最高位大関の通算優勝
回数の最高数は魁皇の5回である。貴景勝が目指し
てもいい目標は魁皇の通算優勝回数である。貴景勝
は果たして魁皇を超えられるのか。
魁皇の優勝は2000年五月場所から2004年九月場所ま
でである。27歳から32歳までである。内訳は以下で
ある。
27歳 1回
28歳 2回
29歳
30歳
31歳 1回
32歳 1回
一方貴景勝は以下である。
22歳 1回
23歳
24歳 1回
25歳
26歳 1回
1年おきに1回である。
魁皇を支えたのは力士生命の長さである。それは四
つ相撲であることが大きい。それに対し貴景勝は押
し相撲である。押し相撲の貴景勝はどのくらいもつ
のだろうか。押し相撲の先輩大関若羽黒・大受は大
関の座を明け渡すことになっている。
貴景勝が2年1回の優勝なら、28歳までにあと1回
ということになる。押し相撲はこのあたりが限界に
なっても不思議ではない。そうなると魁皇の通算5
回優勝を超えることは容易でない。最高位大関の通
算4回の優勝はまだない。貴景勝はまず、通算4回
目の優勝を目指すことである。
それにはケガを治すことが先決である。五月場所の
貴景勝はぎりぎりの相撲が続いた。勝ちにいった作
戦的な相撲があった。五月場所は角番をのり切った
だけでよしとしなければならないほど傷だらけの勝
利であった。再び立ち上がるためにはケガを直して
稽古に励むしかない。