この記事は、横綱昇進の事実上の基準「直近2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績」が、千代の山以降の歴代横綱でどう運用されてきたかを、田口が昇進直前5場所の成績から検証したものである。2場所連続優勝が基準として浸透している一方で、鏡里は初優勝1回、双羽黒は優勝なしで昇進するなど運用は揺れてきた。逆に連続優勝が絶対視された時代には貴乃花・旭富士が割を食い、昇進直前5場所の成績が最も良かったのは貴乃花だった。
▶▶ 横綱になるまでの所要場所数(最速・遅咲き)は新入幕から横綱昇進まで何場所か、昇進・引退の年齢は横綱の昇進年齢と引退年齢へ。
※横綱昇進基準は明文化された規定ではなく、横綱審議委員会が運用してきた慣例。事例は千代の山以降の横綱。
一月場所、貴景勝が優勝したことで、早くも三月場
所は横綱をかける場所という声があがっている。そ
れは2場所連続優勝が横綱昇進基準として浸透して
いるからである。しかし、この基準には危うさが潜
んでいる。
1.年6場所時代にわずか2場所だけという短期間
2.優勝といっても15戦全勝優勝と12勝3敗は同一視
できない
3.一時の勢いだけで決めてしまう

横綱は数字よりもどこからいっても万全、十分横綱
が務まる。となって初めて昇進できるものである。
そこまでいかないうちになったため横綱不十分の横
綱がずいぶん誕生した。
横綱審議委員誕生後、横綱の代でいえば千代の山以
降の横綱昇進をみていこう。年6場所時代は5場所
くらいをみたほうがいい、といったのはNHK解説者
だった玉の海梅吉氏である。横綱昇進直前5場所の
成績は以下となった。


千代の山は昇進2場所前8勝7敗である。現代なら
考えられない。思いあたるのは千代の山は新大関か
ら13勝、12勝で2場所連続優勝した実績があったこ
とである。なお、千代の山のころは年3場所である。

鏡里は5場所で60勝だから合格のように見える。実
は、横綱直前の優勝が初優勝だった。つまり優勝経
験1回で横綱になってしまった。なお、鏡里は年3
場所から4場所の成績である。

ほかには初優勝だけで横綱になった力士はいる。吉
葉山、柏戸、2代目若乃花、三重ノ海、大乃国、鶴
竜、稀勢の里と意外に多い。もっとも双羽黒は優勝
なしで横綱になってしまった。
初代若乃花の時は紛糾してなかなか決まらなかった。
初代若乃花は大関時代から横綱にひけをとらず強か
った。ただ連続優勝でないため、横綱審議委員がつ
くった2場所連続優勝の原則を自らくずすのかと舟
橋聖一氏ががんとして受付なかった。結局若乃花は
横綱に昇進した。責任感の強い若乃花はいままで以
上に稽古した。

横綱昇進直前5場所の最高成績は貴乃花である。貴
乃花の横綱は時間の問題といわれるほどだった。と
ころが連続優勝絶対の時代であったため、なかなか
なれなかった。最後は連続全勝優勝で決めた。

優勝なしの双羽黒を横綱にした反動からか、旭富士
から日馬富士まで2場所連続優勝しなければ横綱に
なれなかった。割をくったのは旭富士と貴乃花であ
った。3代目若乃花は2場所連続優勝で横綱に昇進
したが、横綱優勝はついになかった。
貴景勝はどのような結果をもたらすのか。一月場所
は12勝優勝だった。微妙ななかで三月場所迎えるこ
とになる。
横綱昇進の条件と成績についてよくある質問
Q. 横綱昇進の条件は何ですか?
事実上の基準は「直近2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績」です。横綱審議委員会以降に浸透した慣例で、明文化された数字の規定ではありません。
Q. 優勝なし・優勝1回で横綱になった力士はいますか?
優勝なしで昇進したのは双羽黒。初優勝(優勝1回)で昇進したのは鏡里をはじめ、吉葉山・柏戸・2代目若乃花・三重ノ海・大乃国・鶴竜・稀勢の里がいます。
Q. 昇進直前の成績が最も良かった横綱は誰ですか?
昇進直前5場所の成績では貴乃花が最高でした。連続優勝が絶対視された時代で、最後は連続全勝優勝で昇進を決めました。
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