平幕同士の優勝争いの両雄、2敗玉鷲対3敗高安が
千秋楽に激突する珍しいケースになった。偶然の産物
は場所を最高潮に盛り上げた。それは取組順に変化を
もたらした。翔猿前頭筆頭、玉鷲前頭3枚目、高安
前頭4枚目。本来なら玉鷲-高安の後に翔猿-隆の勝
となるはずである。ところが実際は翔猿-隆の勝の後
に玉鷲-高安となった。優勝争いのクライマックスを
少しでも後にしたかったのだろうか。
相撲は両力士激しく力強く当たった後、二の矢は玉鷲
だった。突き押しで高安を圧倒して押し出した。玉鷲
2回目の優勝が決定した。高安の逆転優勝はならなか
った。13勝2敗。3場所続いた12勝優勝はストップ
した。その2敗が大波兄弟の若隆景、若元春という
のは意味深な結果である。
なお、関脇以下の優勝は御嶽海と照ノ富士の3回が
最高である。玉鷲の2回目の優勝は想像できなかっ
た。だから3回目はなおさら想像できない。今年の
優勝の顔ぶれは5場所とも異なった。内訳は横綱1、
関脇2、平幕上位2となった。十一月場所の優勝者
しだいでは1年間の優勝者がすべて異なることにな
る。
玉鷲は37歳10カ月の最年長優勝記録保持者になった。
これまでは旭天鵬の37歳8カ月が記録であった。なお
テレビでは太刀山を最年長記録と紹介していたが、
当時優勝制度はなかった。あったのは時事新報社の
幕内最高成績者の写真額を国技館に掲げる制度であっ
た。不戦勝不戦敗制度、取り直し制度もなかった。
37歳10カ月という年齢のわりには玉鷲の相撲は若々
しく、パワーもいささかも衰えていない。玉鷲は今後
どうなる。連続出場記録を伸ばし、息の長い力士と
して相撲界に貢献していただきたい。