十両を狙う幕下力士の前半の成績は次である。
東筆頭 貴健斗 2勝2敗
西筆頭 金峰山 4勝
東2枚目 狼雅 3勝1敗
西2枚目 菅野 3勝1敗
9日目、3勝1敗同士で菅野と幕下東4枚目上戸が
対戦した。相撲は、激しい攻防の繰り返しのなかから
ふところに入った菅野が向こう正面に果敢に寄り立て
寄り倒した。成績によってはチャンスがあった上戸で
あったが、これで十両昇進はなくなった。この日、
金峰山、貴健斗も勝って5勝、3勝2敗と星をのば
した。
同日、3勝1敗狼雅は十両で北青鵬と対戦した。北青
鵬は6勝2敗であり、好調同士をぶつけた取組であっ
た。相撲は、立ち合いもろ差しになった狼雅が低く
はいった。北青鵬は腰が高く不利な体勢。狼雅、寄り
立ててから深くはいった左下手投げで決めた。
10日目、4勝1敗の菅野は十両矢後と対戦した。
矢後は十両12枚目で下2枚しかなく、4勝5敗で微妙
な成績だった。相撲は、四つの前段階での争いから
離れて矢後が突いて出る。そのまま出て最後押し出し
た。菅野は4勝2敗と苦しくなった。
11日目、狼雅は4勝1敗同士で藤青雲と対戦した。
両力士当たって右四つ。互いに上手は取っていない
が、藤青雲は頭をつけて体勢は低い。藤青雲は左から
しぼっておこし、そのまま向こう正面に寄り切った。
狼雅は4勝2敗となった。金峰山は白星を重ね6勝と
十両をかなり引きよせた。
3勝2敗貴健斗は十両で5勝5敗北の若と対戦した。
北の若は十両12枚目で下2枚しかなかった。相撲は、
左四つから北の若が圧倒し、上手投げで決めた。貴健
斗は3勝3敗で最後の一番を迎えることになった。
13日目は各段の全勝同士がぶつかる日である。幕下
では金峰山と吉井が激突した。実力的には金峰山と
思ったが、意外な展開となった。両力士あたりあっ
たあと、吉井は素早く左まわしをとり、投げで金峰山
のパワーを封じた。右四つから吉井寄り立てる。金峰
山踏みとどまる。吉井の左上手投げに金峰山傾き、
吉井の幕下優勝が決まった。金峰山は6勝1敗になっ
たとはいえ、十両昇進の有力候補であった。
同日3勝3敗の貴健斗が十両12枚目4勝8敗矢後との
入れ替え戦に挑んだ。相撲は、突き押しの応酬と
なり、勝った貴健斗が最後黒房下土俵に押し出した。
勝ち越した貴健斗の十両復帰は確定的になった。
14日目、2つの入れ替え戦がおこなわれた。まず4勝
2敗菅野対十両11枚目4勝9敗の魁聖戦である。立ち
合い左上手を取りにいった菅野が出し投げから送り
出した。5勝をあげ、半枚番付が上の狼雅の結果待ち
となった。
もうひとつの入れ替え戦、それが4勝2敗狼雅対十両
11枚目5勝8敗の栃丸戦である。栃丸は自分の十両
残留と同じ春日野(元栃乃和歌)部屋の菅野の援護
射撃をしたいところである。狼雅は勝てば十両昇進の
第3候補に浮上する。双方にとってきわめて大事な
一番である。
運命の勝負は、栃丸の突きが炸裂し、狼雅後退するも
対抗。激しい突き合いの応酬となった。長い突き合い
から栃丸が勝り、黒房下土俵下に狼雅を突き出した。
狼雅は4勝3敗となり、十両昇進第3候補は菅野に
決まった。
場所後、番付編成会議で金峰山、菅野改め栃武蔵の
新十両、貴健斗の十両復帰が決定した。