照ノ富士の取組は法則に従って組まれている。初日
西小結阿炎。2日目、半枚下がって東筆頭霧馬山。
3日目、半枚下がって西筆頭隆の勝。半枚下がれば5日
目は西前頭2枚目逸ノ城戦となるのは当然であった。
なお、6日目は半枚下がって東3枚目玉鷲戦となる。
これまで照ノ富士にとって逸ノ城はそれほど取りにく
い対戦相手ではなかった。奇襲があるわけではない。
右の相四つである。ただ、今場所の逸ノ城はいつもの
逸ノ城ではない相撲を感じさせる。だからいつもの
逸ノ城だと思って取り組むと危険である。
結びの一番、照ノ富士対逸ノ城。仕切りを繰り返す
両力士を見ると、照ノ富士は大きいが、逸ノ城はさら
に大きい。相撲は当たり合って右四つ。逸ノ城は左
上手いいところを取った。「上手は浅く、下手は深
く」がセオリーである。このとき照ノ富士の上手は
どうなっているか、正面からは見えにくかったが、
取れていないようだ。逸ノ城が攻勢をかける。その
なかからもろ差しになると、照ノ富士は防戦一方。
それも限界に達し、最後は正面土俵を割った。
逸ノ城は横綱を破って5勝。序盤戦とはいえ、トップ
に浮上した。これは大きい。まだ5番だが、相撲は
パワフルで簡単に攻めきれない重量感を感じさせる。
いつもとひと味違う逸ノ城がいる。2敗照富士に変わ
って優勝戦線の中心に躍り出る可能性が出てきた。
これでまだ未対戦の力士の逸ノ城をみる目が違って
くる。といっても正代、御嶽海の2大関は期待しに
くい。その御嶽海をあざやかに技で力を制したのが
宇良のとったりであった。逸ノ城対宇良が楽しみに
なった。