綱審議委員会のメンバーに池坊保子氏と俳優
の紺野美沙子氏が加わることになった。メデ
ィアでは女性という点が協調されていたが、
特別こだわらないほうがいい。
ただ、これまで横綱審議委員会というと有名
人・社会的地位のある方で占められてきた
経緯がある。なぜか。そういう方だけが正論
を言うとは限らない。相撲をこよなく愛する
方、強い横綱誕生に熱意を燃やす方が無名
でも加わったほうが組織的に好ましい。
横綱審議委員会はそもそも横綱の弱体化と
ともに誕生した。昭和25年春場所(1月)、
蔵前に仮設国技館ができ、人気が高まって
いた。ところが、3横綱の東富士が3日目
から、照國が4日目から羽黒山が5日目から
休場してしまった。たちまち横綱不在の場所
となってしまった。
協会はこの事態に横綱といえども不成績の
場合降格すると横綱格下げを打ち出した。
ところが世論はこれに大反発、大反対で反応
した。協会は横綱格下げ論をひっこめざるを
得なくなった。
そこで横綱の推薦、引退などを審議する機関
として設置されたのが横綱審議委員会であっ
た。横綱審議委員会以降誕生した横綱は千代
の山からである。横綱推挙の基準2場所連続
優勝の原則の規定は初代若乃花以降に適用
された。
では横綱審議委員会ができて弱い横綱、物足
りない横綱は解消されたのだろうか。否で
ある。まず、2場所連続優勝を原則とする
横綱昇進基準はいらない。年6場所時代に
わずか2場所だけを切り取ることの危うさが
ある。琴櫻、旭富士、3代目若乃花だって
2場所連続優勝しての横綱昇進だった。
本来の基準、品格・力量抜群!これだけで
十分である。しかし、2場所連続優勝の横綱
昇進基準に異議を唱える委員はこれまでいな
かった。金科玉条のごとく改定されてこな
かった。これでは横綱審議委員会の存在意義
って何だろう、という疑問は消えない。