新横綱大の里が正式に誕生した。すでに横審の諮問は済、番付編成
会議及び臨時理事会で承認された。国技館から茨城のニ所ノ関部屋
は遠い。使者がニ所ノ関部屋に到着したのは10時10分頃であった。
使者は出羽海(元小城ノ花)と秀ノ山(元琴奨菊)だった。
伝達式の口上は「謹んでお受けいたします。横綱の地位を汚さぬよ
う、稽古に精進し、唯一無二の横綱を目指します。本日はありがと
うございました」と唯一無二が再び使われた。

大の里はどんな横綱になるだろうか。実は横綱ほどピンからキリま
で範囲が広いものはない。横綱をめぐる呼び方は様々である。大横
綱、名横綱、強豪横綱、物足りない横綱、弱い横綱、短命横綱など。
最高位横綱でも実体は別物である。
大の里はデビューから13場所と最短場所数で横綱、入幕から9場所
を要し最短場所数で横綱にのぼりつめた。それはそれですばらしい
ことだしすごいことである。また、今後この記録破ることは容易で
ないことは想像がつく。学生出身の横綱は輪島に次いで2人目の偉
業である。ただし、横綱としての評価は到達した点の高さになる。
大の里は現在24歳だが、七月場所は25歳になる。同じ学生出身の横
綱輪島は以下の道を歩んだ。
25歳 優勝3回 77勝12敗1休
26歳 優勝3回 70勝20敗
27歳 優勝0回 31勝21敗38休
28歳 優勝2回 77勝13敗
29歳 優勝3回 75勝15敗
30歳 優勝0回 48勝18敗24休
31歳 優勝1回 68勝22敗
32歳 優勝1回 48勝20敗22休
33歳 優勝0回 11勝7敗引退
輪島は24歳までに優勝1回だが、大の里はすでに4回優勝している。
輪島は27歳のとき躓いたが、大の里はこの点をしのげば年2,8回く
らい優勝していける。30歳以上は多くを望めなくなる。大の里の場
合ケガさえなければ、優勝は17回から20回くらいいって不思議では
ない。馬力型の相撲の力士生命は輪島より短いかもしれない。

輪島の場合には下から北の湖が浮上した。大の里も脅かす存在は豊
昇龍がすでにいる。さらに下から出てくる可能性はある。それは安
青錦かもしれない。十両で連続優勝した草野かもしれない。
豊昇龍には優勝回数で差をつけている。下から突き上げる力士が成
長するには時間を要する。そういう意味で現在の大の里は前途洋々
である。