品格力量抜群につき横綱に推挙する。品格は
定義されていない。それでは力量抜群とは
どれくらいの力量になるのだろうか。時代を
築けるほどの力量なら文句は出まい。なに
しろ横審が誕生以降も弱い横綱、物足りない
横綱は出現してきた。もうひとつ目安になる
のが横綱勝率である。勝率には休場が含まれ
ない。土俵の強さだけが表される。
大正15年の優勝制度以前は引き分け、預かり
等がある。横綱勝率算出において、引き分け、
預かり等は0.5勝0.5敗とした。1勝99引き
分けが勝率10割で、99勝1敗より上という
のはどう考えても不合理だし、強いのは後者
であろう。横綱勝率はどのような経緯をたど
ってきたのだろうか。横綱が実質地位化した
常陸山以降をみていこう。
角聖常陸山は休場が多かったが、横綱勝率は
8割2分6厘である。これを更新した横綱が
45日(1月半=一突き半)の突っ張り太刀山
である。実に9割5分5厘である。太刀山は
横綱時代3敗、引き分け・預かりが2しか
ない。3敗は2代目西ノ海、栃木山、大錦で
ある。東西制時代横綱勝率9割超えはほかに
栃木山だけである。9割5厘である。なお、
大正15年の優勝制度以前、不戦勝不戦敗制度
はない。
昭和戦前、双葉山は系統別制で4場所、東西
制13場所で横綱勝率8割8分2厘をあげた。
15日制に換算すると13.2勝である。年6場所
制では大鵬が8割5分8厘まで迫った。大鵬は
系統別制19場所、部屋別制39場所横綱として
務めている。横綱在位10場所、成長途上の中、
現役で亡くなられた玉の海が条件付きで8割
6分7厘と大鵬を超えた。
年6場所制で横綱勝率8割以上の横綱は以下
である。時代を築いた横綱ばかりである。
北の湖 0.811
千代の富士0.848
貴乃花 0.813
朝青龍 0.836
年6場所制で横綱勝率最高に達したのが白鵬
である。899勝129敗、横綱勝率8割7分5厘
である。1場所13.2勝になる。超人的な数字
である。この数字を超えることは容易では
ない。若くして横綱になり、独走できること
が最低条件になる。白鵬は記録の達人であっ
た。
七月場所の白鵬の記事をみています。
興味深いテーマをこれからもお届けします。