3月31日、番付編成会議および臨時理事会で
照ノ富士の大関復帰が正式に決定した。協会
から高島(元高望山)と浅香山(元魁皇)が
使者として江東区毛利1-7-4(いなし)
の伊勢ヶ濱部屋へ向かった。使者を迎えた
照ノ富士は「謹んでお受けしますと」口上を
述べた。2017年九月場所以来の大関復帰と
なった。
長い道のりであった。大関から転落したあと
はあっというまに十両に転落した。元大関が
十両で相撲を取ること自体珍しいことだった。
だが転落の坂はまだ終わらなかった。幕下
から4場所連続休場で番付は序二段まで下げ
た。このとき誰が大関復帰を考えられただ
ろうか。
ゲガと病気との闘いだけになおさらイメージ
できなかった。それだけに不撓不屈とか逆境
との戦いといった言葉では片付けられない
想像を絶する大変な苦闘人生だったと思う。
おそらく今後序二段転落後の大関復帰はあり
えないのではないだろうか。
大関には、貴景勝、朝乃山、正代がいる。
だが大関で優勝したのは貴景勝が1回きり
である。昨年の七月場所から今年の三月場所
まで彼ら3人の成績は以下である。
貴景勝 45勝22敗8休
正代 45勝20敗10休
朝乃山 44勝19敗12休
これに対し照ノ富士は57勝16敗2休である。
照ノ富士は現在の大関よりはるかに強く、
幕内最強といってもさしつかえない。優勝
回数をさらに伸ばしていける存在である。
技術的には両前褌を取って出る相撲が光っ
ている。御嶽海・正代戦でみせている。これ
にさらに磨きをかけることである。その反面
高安には分が悪く、阿武咲には連敗している。
この辺りは克服しなければならない。
照ノ富士はとてつもないドラマを見せてくれ
た。まさに土俵は人生の縮図だ。こんな途方
もないドラマを見せられては、ますます相撲
から離れられなくなる。
伊勢ケ浜部屋前で知り合いに会いました。
興味深いテーマをこれからもお届けします。