5月3日は公開稽古総見の日である。昨夜
から降り出した雨は、日をまたぎ激しくなっ
てきた。いつもは10キロ先の駅まで自転車で
行って始発に乗り、両国に5時半ごろ着く
のが常だった。ところが激しい雨、場合に
よっては風も吹き荒れるとの予報では、自転
車で10キロはリスクが大きかった。そこで
やむなく地元の駅の遅い始発を利用した。
6時21分頃、相撲仲間が国技館に着いたとの
メールを受けた。激しい雨のせいかいつも
より列は短く、100番くらいとのことだった。
筆者が両国に着いたのは6時40分過ぎであっ
た。南門を入り65メートルくらいの位置で
あった。そのあとも列は続いた。7時頃に
激しかった雨はやんでいた。列が動き出した。
入場である。
今年は正面のマス席18マスを報道席にあて
がっていた。かなりのスペースである。相撲
仲間と合流した。1階のマスはまだ空きが
見える。幕下が体をならしてからようやく
土俵にあがった。申し合いである。勝った
力士が次の力士を指名する方式である。満身
創痍の富司が奮闘する。炎鵬が活気ある相撲
を取る。村田が強さをみせつる。村田の十両
入りは近いかもしれない。十両は粘っこい
相撲の明瀬山が目についた。貴源治は元気
そうである。
幕内では栃ノ心の強さが際立った。力強い。
特に右四つになれば稀勢の里は何もできない。
優勝したことへの自信、優勝力士としていい
相撲の心がけ、大関への挑戦など、栃ノ心は
心身ともに最も充実している。雨があがった
せいかマス席がうまった(4人で座ってない
方がほとんどだが)。
先場所優勝した鶴竜はうまい相撲で組み勝ち、
相手を寄せつけない。先場所休場した白鵬と
稀勢の里はどうか。稀勢の里はもろさが目立
った。力に対して力で対抗できない。いさ
さか心配である。今の調子なら無理して出場
しないほうがいい。白鵬は、横綱三役の稽古
を土俵下で見ていた。土俵にあがらないのか、
と思わせたが、最後に締めた。
白鵬は、遠藤-御嶽海-遠藤とそれぞれ三番
稽古をした。力の差は圧倒的で軽くあしらう
相撲が目立った。最後の遠藤との三番稽古は、
胸をだして何番も押させていた。白鵬は心配
なさそうである。ただし、本場所では張り
差し、かちあげが封じられているが、そこを
克服したかは、判断できなかった。
正面18マスを報道席にしたが、使用していた
のは協会撮影部だけだった。幕内が仕上げのぶ
つかり稽古を始めてから、テレビとおぼしき
取材陣が4社ほど報道席に入って撮影し始め
た。18マスをつぶす意味はあったのか、はな
はだ疑問である。
最後に幕内力士が土俵下に勢ぞろいし、力士
会会長の鶴竜が挨拶した。これは初めての
試みであった。感謝を忘れない姿勢は心が
洗われる思いである。こうして稽古総見は
終了した。