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■福岡千秋楽 1度の不祥事で崩壊するモノ

千秋楽の関心は八角(元北勝海)理事長の
ご挨拶である。いったい何を語るのだろうと
その時を待っていた。土俵に上がった八角
理事長は神妙な面持ちだった。そして口を
切った。「横綱日馬富士の問題により、皆様
には多大なるご心配とご迷惑をおかけした
ことを心よりお詫びいたします」と異例の
お詫び挨拶となった。
171126千秋楽十両幕下以下 659
<八角(元北勝海)理事長のご挨拶>

ただ、これまで数々の不祥事でのお詫びを
見てきた筆者としては「ご心配とご迷惑」と
いうフレーズは数々聞いてきた。そのときも
今回もちょっと違うと思った。これは信頼と
信用の失墜の問題ではないか。信頼、信用を
築くのは容易ではない。地道でファンに応え
る行為をこつこつと積み重ねて成るモノで
ある。
しかし、1度の不祥事でそれは崩壊する。
新弟子暴行死事件、薬物事件、野球賭博事件、
八百長事件で相撲界は黒い体質なのだと思わ
れた。その不信感ため、どれほどファンが
去って行ったかわからない。平成22年の野球
賭博発覚直後の七月場所初日の様子を紹介
しよう。
171126千秋楽十両幕下以下 691
<休場者続出で寂しい協会ご挨拶>

暴力団関与で開催が危ぶまれた七月場所が
始まった。今まで見たこともない光景が繰り
広げられた。入り口で待ち構える報道陣。
開場を待つファンに元NHKの杉山氏が話を
聞いていた。筆者も館内で日刊スポーツの
記者に取材された。当然、暴力団からみの
野球賭博事件に関してである。処分者が少な
いから解雇、多いから謹慎というようなこと
は、してほしくない。物事は公平・公正で
なければいけないと答えた。
今回NHKはダイジェスト放送のみである。
会場入りしてまっさきに見たのはNHKの
放送席がどうなっているかである。スペース
は実況放送がなくても以前と変わらず存在
した。電光掲示板では休場に謹慎力士と岩木
山の名前が混在している。きちんと区別しな
いと誤解を招きかねない。
無題A
<平成22年七月場所初日の日刊スポーツ新聞>

土俵の進行予定時刻は番数が減っているにも
かかわらず、いつもの初日どおりだ。協会
挨拶では村山理事長代行が土俵にあがる。
自分の言葉でお詫びとこれからの出直しを
語る。毎回、決まり文句の挨拶よりいい。
今後も続けていただきたい。幕内の取組が
始まっても比較的静かだ。まばらな懸賞に
ぱらぱらと拍手が起きる。西2階椅子席に
陣取った稀勢の里の応援団の声援が館内に
響く。番数が幕内では3番少ないにもかか
わらず、打ち出しは帳尻をあわせたように
終了した。
今回の事件で八角理事長はカバナンスを口に
した。現代企業では当たり前だが、相撲協会
からその言葉を聞くとは思っていなかった。
これまで八角理事長は全協会員を集めて不祥
事を起こさぬよう戒めてきた。今回も場所後
に関取を集めての講和をおこなった。
根本は教育にあると思う。相撲教習所や部屋
で教育することが大切である。筆者は玉錦の
生き様が好きで、大相撲が不祥事続きでも
見放さないできた。昭和3年の一月場所。
千秋楽をむかえ前頭13枚目の三杉磯は全勝、
大関常陸岩は1敗。当時は優勝決定戦制度が
なく、同点なら番付上位が優勝。平幕の三杉
磯は千秋楽に小結玉錦とあてられた。前日
から玉錦のもとには八百長の申し入れがあっ
たようだが、断った。
2玉錦2A
<クリーン横綱玉錦>

玉錦は千秋楽の一番は負けては八百長と思わ
れるので必死でうっちゃった。常陸岩が宮城
山を破り、優勝を決めた。玉錦は常陸岩の
後援筋から宴会に誘われたが「人のために
相撲は取らない」と断ったという。八百長
嫌いで後年は誰も頼みにいかなかったという。
こうした玉錦の生き様を手本として教育に
生かしていただきたい。
【福岡人間交差点】
隣の席の方と楽しく観戦。名刺交換をしたが、
同姓であることにびっくり。これまで様々な
出会いがあったが、同じ苗字の方とははじめ
てである。近くで観戦していたお笑いコンビ
キンボシより缶ビールと清酒をいただいた。
本当にありがとうございました。同じ苗字の
彼とは来年の再会を約束して会場を後にした。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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