遠藤が大関稀勢の里に対して立ち合いすばやく左四つ
相手に上手を与えないいい体勢をつくった。くい下がらん
とするも攻め手に欠け、稀勢の里の圧力に屈して正面
土俵下に転落した。この日のお客さんから「今日は
稀勢の里-遠藤戦で燃え尽きたな」という声が聞こえた。
それほど注目され、相撲ファンをわかす遠藤はどこまで
出世するか考察してみよう。
学生出身でよくいわれることは学生時代ある程度相撲が
完成してしまうという点である。つまり、伸びしろが
さほどないということである。実は学生とプロ入り後
では大いに異なる点がある。それは学生が、学業のかた
わら部活動として鍛錬するのに対し、プロは本業として
稽古に取り組む点である。だから、学生が卒業する22歳
までに横綱になる者さえいる。遠藤の力はどこまで伸びる
か。遠藤の相撲は理にかない粘りがある反面、前へ突進
するパワー相撲を克服できていない。まだ成長の余地は
ある。ただ、体重はこれ以上必要ない。プロとして、
猛稽古をすることだ。
学生出身で大関になった力士は豊山、朝潮、武双山、
出島、雅山、琴光喜といるが横綱になったのは輪島一人で
ある。輪島を横綱にした要素は何か。それは一言でいえば
ここ一番の勝負に強かったことである。そして勝ちに
もっていく過程がうまかった。大関から横綱になった北の
湖はよく同じ手で輪島に負けていた。北の湖が優勝した
ときさえ輪島に負けていた時期があった。
さて、遠藤はどこまで出世するか。遠藤は大関は期待
できる。これほどファンを熱くする力士ゆえ、期待に
応えてもらいたい。しかし、そこから先は未知数である。
東富士は言った。「大関は一芸あればいい。しかし、
横綱は一芸ではだめだ。二芸必要だ。」
<写真は一月場所の優勝パレード 優勝白鵬(右)旗手遠藤>
<写真は一月場所の優勝パレード 優勝白鵬(右)旗手遠藤>