現代は誰が優勝するか予想が立たない時代である。
三月場所の尊富士、五月場所の大の里の優勝はまっ
たくの予想外であった。それは絶対的強者が不在で
あるからだ。逆にいうと、誰が絶対的強者として君
臨して混迷の時代を終焉できるか、ということであ
る。
昭和47年は混乱の時代であった。一人横綱の北の富
士が乱調。大関はまったく頼りにならない存在であ
った。そんななかで琴櫻が連続優勝して横綱に昇進
した。しかし、32歳で多くは期待できなかった。事
実短命で終わっている。
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その後横綱として登場したのが輪島である。横綱審
議委員の石井光次郎氏は「輪島はマシーンのような
強さ」と言っている。神風氏は「羽黒山の堅実さ、
強さと安藝ノ海のうまさをあわせたのが、輪島の相
撲」と語る。
玉の海氏は「すり足、顎があがらない、腰を落とし
て攻める。大胆な中に緻密さがある」と称賛する。
大鵬は「攻撃から防御、防御から攻撃と相撲にリズ
ムがある。輪島の強さの一番のポイントは腰の中心
点に寸分のくるいもないということだ。投げを打つ
ときの体の開きは天才的」と絶賛である。
現代絶対的強者になるには横綱になれる者である。
それも並みの横綱ではだめだ。強豪横綱である。今
の大関はどことなく頼りにならない。下位によく負
ける。
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将来を期待できる存在はやはり大の里か。今の大の
里はまだ大関にもなっていない。大関になっても短
期間で横綱になることが条件である。学生出身の横
綱は長い間輪島一人であった。スピード出世や初優
勝までの場所数は輪島を上回っている。
問題は大の里が横綱になったとき、輪島ほどの称賛
があるか。14回という輪島の優勝回数に迫れるか。
未知数大の里の今後が注目される。