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理事長の任期5

元栃錦は任期がまだあるなか、理事長をライバルの
元若乃花の二子山に禅譲した。それだけに子山理事
長の任期は約3年2カ月と短期になった。立ち合い
の待ったに罰金を導入したが、悪いのは待ったした
ほうとは限らないのでいつしかなくなった。

<貴花田に賜杯を渡す二子山>

ニ子山理事長は短期間の任期のなかで無気力相撲
(八百長)問題に取り組んだ。平成3年の九月場所
前、全親方、全関取を集めた。メディア抜きであっ
た。そこで何が話し合われたのか、想像はついた。

具体的な中身が明らかになったのは平成8年10月の
ことである。出席者の中に録音機を持ち込んだ者が
いたようだ。二子山理事長は激高した。「君らよく
聞けよ、親方衆。重大なことだぞ。若い親方衆、今
までの相撲を見てみろ。師匠は何とも思わないか。
その勝ちで喜んでいるのか、手をたたいているのか。
おめでとう、おめでとうって。逆に叱らなきゃいけ
ないじゃないか」

次の理事長候補元佐田の山の出羽海が、こう言った。
「故意による無気力相撲が一部不心得ものによって
行われるのは許されない。金で手に入れることは、
稽古も何もしなくていい。床山とか若い衆とか、仲
介した人は相当な処罰をする。若い衆はクビ、床山
は廃業になるかもしれない」

<佐田の山のブロマイド>

二子山理事長は財団法人を剥奪され、国技館を接収
されるという趣旨を口にしている。録音テープの内
容がでたときニ子山理事長はすでに定年で協会には
いなかった。

板井が引退したのは平成3年九月場所だった。板井
は年寄春日山を借株で襲名するつもりでいた。だが
二子山理事長は「協会行事に熱心でない」という表
向きの理由で断じて襲名を認めなかった。板井は八
百長の仲介約である中盆であった。それが二子山の
逆鱗にふれた。 

<板井著中盆>

協会を離れた板井はのちに日本外国特派員協会で八
百長を吐露している。八百長が発覚したのは平成23
年一月場所後であった。だが元ニ子山理事長はそれ
を知ることなく、平成22年9月1日に死去した。

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この記事を書いた人

無類の相撲好き。本場所は地方場所を含めて年間半分くらい観戦しています。大相撲に農閑期はなく、随時執筆していきます。興味深く読んでいただければ幸いです。お問い合わせなどあれば管理をお願いしてる masaguramさんまでX(Twitter)ください。

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